ヨン・レック・ヨハンセン

ヨン・レック・ヨハンセン（Jon Lech Johansen）は、1983年11月18日生まれのノルウェー出身のプログラマーです。彼は、15歳という若さでDVD-Videoのアクセスコントロール技術であるContent Scramble System（CSS）を解除するソフトウェア「DeCSS」を開発し、その功績から「DVDヨン（DVD Jon）」として広く知られるようになりました。日本では、その若さから「ヨハンセン君」という愛称で親しまれることもあります。

若き日の挑戦

ヨハンセンは、ノルウェーのハーシュタで生まれ、父親はノルウェー人、母親はポーランド人です。彼は独学でソフトウェア工学を学び、1999年、15歳でDeCSSを開発しました。DeCSSは、当初Linux上でDVD-Videoを視聴できるようにするために作られたものでしたが、DVDの複製も可能にしたため、大きな議論を呼びました。2000年1月には、米映画協会（MPAA）と米DVDコピー規制協会が、ノルウェーの経済犯罪局に訴状を提出する事態に発展しました。

法廷闘争と勝利

2002年、ノルウェー検察当局はヨハンセンを著作権法違反で起訴し、2年の刑を求刑しました。しかし、2003年1月7日、オスロ地方裁判所は「合法的に購入したDVD映画を、製作者が想定しない方法でアクセスすることは合法」として無罪判決を下しました。検察側は上訴しましたが、同年12月22日にオスロ上訴裁判所も無罪判決を支持。2004年1月5日には、ノルウェー警察が最高裁判所への上訴を断念し、ヨハンセンの無罪が確定しました。この裁判は、著作権と消費者の権利に関する重要な判例となりました。

DeCSS後の活躍

DeCSS開発後も、ヨハンセンは精力的にリバースエンジニアリングを行い、様々なソフトウェアを公開しました。

2003年11月: iTunes Storeで販売されているAACオーディオのDRMを回避するツール「QTFairUse」を開発。
2004年3月: VideoLANの開発者に加わり、VLCメディアプレーヤーをFairPlayに対応させました。
2004年4月: DRMの復号ツール「DeDRMS」を開発。
2004年7月: iTunes StoreサーバからFairPlayのキーを取得するツール「FairKeys」を開発。
2004年8月: AirPort Expressの暗号化を破ったと発表。
2005年3月: LinuxからiTunes Storeにアクセスし、DRMなしで楽曲をダウンロードできるツール「SharpMusique」（旧PyMusique）を開発。
2006年10月: iTunesのDRMであるFairPlayを解除したと発表。
2007年7月: iPhoneをAT&Tへの登録なしに起動させるツール「Phone Activation Server」を公開。電話機能は使えないものの、iPodやWi-Fi機能は利用可能でした。

現在の活動

2007年6月、ヨハンセンはMonique Farantzosと共にサンフランシスコでdoubleTwist Corporationを設立しました。同社では、写真、音楽、ビデオを様々なデバイス間で転送できるアプリケーションの開発を進めています。現在、ヨハンセンはdoubleTwist社のCTOとして、技術開発を牽引しています。


ヨン・レック・ヨハンセンは、その革新的な技術力と、著作権問題に対する大胆な挑戦で、プログラマーとしてだけでなく、テクノロジーの世界における重要な人物として、その名を刻んでいます。

外部リンク

ヨン・レック・ヨハンセンのブログ
Johansen (@jonlech) - X（旧Twitter）

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