ヨヴァン・ウロシュ・パレオロゴス

ヨヴァン・ウロシュ・パレオロゴス：セルビアの王子、セサリア皇帝、そして修道士ヨアサフ

ヨヴァン・ウロシュ・パレオロゴス（1350年頃 - 1423年2月24日）は、中世セルビア王国の王子であり、セルビア人のセサリア（テッサリア君主国）皇帝として知られています。ギリシア語名はヨアニス・ウレシス・ドゥカス・パレオロゴス。彼は後にメテオラ修道院の修道士となり、修道士ヨアサフとしても名を残しました。

生い立ちと皇帝即位

ヨヴァンは、セルビア王ステファン・ウロシュ4世ドゥシャンの異母弟シメオン・ウロシュ・パレオロゴスの長男として生まれました。幼い頃から父の共同統治者・後継者に指名され、1370年頃にはセルビアの有力諸侯の娘と結婚しています。

1371年に父が死去すると、ヨヴァンは若くしてセサリア・トリカラで皇帝となりました。約10年間統治しましたが、特筆すべき軍事的業績は残っていません。しかし、イピロス専制公国の混乱を収拾するなど、統治者としては有能であったと考えられています。ヨヴァン自身は早くから信仰と修道生活に傾倒しており、即位後間もなくメテオラ修道院を訪問し、修道活動に身を投じるようになりました。

修道士ヨアサフとして

ヨヴァンがいつ皇帝の地位を捨てて修道士ヨアサフとなったかは明確ではありませんが、1381年には修道士としての記録が残っています。セサリアの支配権は、ドゥシャン王の孫娘の夫であるアレクシオス・アンゲロス・フィランソロピノスに委譲されました。

ヨアサフはメテオラで高名な修道士アサナシオスの弟子となり、彼が創立した大メテオロン修道院で修道生活を始めました。1384年にアサナシオスが亡くなると、ヨアサフは大メテオロン修道院の院長に就任し、1387年には主聖堂を修復再建しました。

修道士としての影響力

修道士となった後も、ヨアサフは「皇帝」の称号で呼ばれ、地域住民から尊敬を集め続けました。政治的な決定の場面でも影響力を行使し、イピロス専制公の暗殺後には、後継者決定にも関与しています。

1394年にオスマン帝国がセサリアを征服すると、ヨアサフは一時的にアトス山に移住しましたが、1396年にはメテオラに戻っています。

1423年2月24日、修道士ヨアサフは大メテオロン修道院で死去し、同院に埋葬されました。

ヨヴァン・ウロシュ・パレオロゴスは、皇帝としての短い統治期間の後、修道士として信仰に生きた人物であり、メテオラ修道院の発展に大きく貢献しました。彼の生涯は、中世セルビアとギリシアの歴史における重要な一章として語り継がれています。

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