ヨーゼフ・カール・シュティーラー

ヨーゼフ・カール・シュティーラー（Joseph Karl Stieler, 1781年11月1日 - 1858年4月9日）は、ドイツの画家であり、1820年から1855年にかけてバイエルン王国の宮廷画家を務めました。新古典主義的な肖像画、特にミュンヘンのニンフェンブルク宮殿にある「美人画ギャラリー」の作品で広く知られています。

生涯

シュティーラーは、マインツで生まれました。彼の家族は代々、彫版、刻印製作、金型製作の職人であり、父アウグスト・フリードリヒ・シュティーラー（1736年 - 1789年）から美術の手ほどきを受けました。父の早すぎる死後、独学で修行を終えると、肖像ミニチュア画家としてキャリアをスタートさせました。1792年にマインツがフランス革命軍に占領されると、ブルジョワジーの間で肖像画の需要が高まりました。シュティーラーは、追放された大司教フリードリヒ・カール・ヨーゼフ・フォン・エルタールを追ってアシャッフェンブルクに移り、そこで後の大司教カール・テオドール・フォン・ダールベルクという重要なパトロンに出会いました。

1802年から1805年の間、シュティーラーはウィーン美術アカデミーに在籍し、ハインリヒ・フリードリヒ・フューガーのクラスを受講しました。彼の肖像画のスタイルは、ジャック＝ルイ・ダヴィッドの弟子であるフランソワ・ジェラールが運営するパリのアトリエでの経験によって大きく形成されました。1808年にはフランクフルトで肖像画家として独立し、1810年にはイタリアへ渡りました。1812年からは、バイエルン選帝侯マクシミリアン1世の宮殿で働きました。

1816年、神聖ローマ皇帝フランツ2世の肖像画を制作するためにウィーンを訪問しました。1820年2月から4月にかけて、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの肖像画を手がけましたが、これは今日最もよく知られているベートーヴェンの肖像画の一つとなっています。1847年にはローラ・モンテスの肖像画も描きましたが、その翌年、彼女との不倫を咎められ、バイエルン国王ルートヴィヒ1世が退位することとなりました。

1855年に引退したシュティーラーはテガーンゼーに居を定め、3年後にミュンヘンで亡くなりました。彼の息子であるカール・シュティーラー（1842年 - 1885年）は、作家として知られるようになりました。

作品

シュティーラーは、主にバイエルン宮廷での仕事に専念しました。ニンフェンブルク宮殿の「美人画ギャラリー」（Schönheitengalerie）に収められた作品群は、ルートヴィヒ1世の依頼によるものです。彼はヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、ギリシャ王妃アマリア、フリードリヒ・シェリング、ルートヴィヒ・ティーク、アレクサンダー・フォン・フンボルトなど、著名人の肖像画を手がけました。また、祭壇画も制作しています。

シュティーラーの肖像画の最大の特徴は、モデルに徹底的に焦点を当てている点です。余分な装飾を排除し、鑑賞者の注意をそらすものを画面に一切描かないことで、その集中度を高めています。意図的に明暗のコントラストを強調することで、特に正確に描写された表情が際立っています。

ギャラリー

（画像は省略）

肖像画の例

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
ローラ・モンテス
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
ギリシャ王妃アマリア
フリードリヒ・シェリング
ルートヴィヒ・ティーク
アレクサンダー・フォン・フンボルト

出典

ドイツ国立図書館の蔵書目録（ドイツ語）

外部リンク

* ヨーゼフ・カール・シュティーラーの著作およびヨーゼフ・カール・シュティーラーを主題とする文献 - ドイツ国立図書館の蔵書目録（ドイツ語）

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