ヨーゼフ・ジャン・バティスト・ノイベルグ

ヨーゼフ・ジャン・バティスト・ノイベルグ

ヨーゼフ・ジャン・バティスト・ノイベルグ（Joseph Jean Baptiste Neuberg）は、1840年10月30日にルクセンブルク市で生まれた数学者であり、幾何学者です。彼はルクセンブルク公国にそのルーツを持ちますが、その学術的キャリアの大部分はベルギーで展開され、後にベルギー国籍を取得しています。ノイベルグは1926年3月22日、ベルギーのリエージュで85歳の生涯を閉じました。

生涯

ノイベルグは、地元ルクセンブルク市のAthénée Royal de Liègeで基礎教育を受けました。その後、高等教育を受けるためにベルギーのゲント大学に進学し、École normaleの理学部で学びました。1862年に大学を卒業し学位を取得した後、彼は教育者の道に進み、各地の教育機関で教鞭をとりました。特に、1862年から1865年にかけてはÉcole Normale de Nivelleで、1868年にはÉcole Normale at Brugesで教師を務めました。その後も、1881年以降はAthénée Royal d'Arlonなどで数学教育に携わりました。

1878年、ノイベルグはかつて学んだAthénée Royal de Liègeに戻りました。そして1884年にはリエージュ大学の員外教授として迎えられ、数年後の1887年には正式な教授職に昇進しました。彼は1910年までリエージュ大学で教壇に立ち続け、多くの後進の指導にあたりました。大学教授を退いた後も、ノイベルグは1866年から会員であったベルギー王立アカデミーの会長に就任するなど、学術界での活動を続けました。

数学への貢献

数学者としてのノイベルグは、特に幾何学の分野で顕著な業績を残しました。彼の研究は三角形幾何学に深く根ざしており、現代でも彼の名が冠されている概念が複数存在します。その一つが「ノイベルグ三次曲線」です。これは、特定の幾何学的性質を満たす点の軌跡として定義される三次曲線であり、三角形の幾何学における重要な研究対象です。

ノイベルグの重要な発見として、1885年に発表された「等力点」（Isodynamic points）があります。これは、ノイベルグ三次曲線の研究を進める過程で発見された、三角形の中心の一つです。等力点は、三角形の頂点からの距離の比が特定の条件を満たす点として定義され、三角形の変換や性質を研究する上で重要な役割を果たします。

数学雑誌との関わり

ノイベルグは、自身の研究活動だけでなく、数学の知識の普及と研究者間の交流促進にも熱心でした。彼は複数の数学専門誌の創刊と編集に深く関わっています。特に著名なのは、数学者のウジェーヌ・カタラン、ポール・マンションと共に創刊した『Nouvelle correspondance mathématique』です。この雑誌は、かつて刊行されていた著名な数学ジャーナル『journal Correspondance mathématique et physique』に敬意を表して名付けられました。残念ながら、この雑誌は1880年に廃刊となりましたが、カタランの働きかけにより、ノイベルグとマンションはすぐに新たな数学専門誌『Mathesis』を創刊しました。この『Mathesis』は長期にわたり刊行され、当時の数学界において重要な役割を果たしました。

所属学会と受章

ノイベルグは、国内外の多数の学術機関や数学協会に所属していました。これには、Institute of Science of Luxembourg、the Royal Society of Science of Liège、Mathematical Society of Amsterdam、そして自身が会長も務めたthe Belgian Royal Academyなどが含まれます。

その長年の学術的功績と貢献に対して、ノイベルグはいくつかの栄誉ある勲章を授与されています。1902年には王冠勲章を、1906年にはレオポルド2世勲章を、1920年にはオーククラウン勲章を、そして1921年にはレオポルド勲章を受けています。

ヨーゼフ・ジャン・バティスト・ノイベルグは、幾何学、特に三角形幾何学分野における革新的な研究と、数学専門誌の編集を通じた学術コミュニケーションへの献身により、19世紀後半から20世紀初頭にかけての数学界に確かな足跡を残しました。彼の死後、その訃報はアメリカ数学会の機関誌『Bulletin of the American Mathematical Society』など、広く数学界に伝えられました。

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