ヨーロッパ地中海地震学センター

ヨーロッパ地中海地震学センター（EMSC）について

ヨーロッパ地中海地震学センター（European-Mediterranean Seismological Centre : EMSC）は、ヨーロッパおよび地中海地域における地震調査と研究を推進する国際的な非営利組織です。国際地震センター（ISC）の地域組織として、大西洋中央海嶺からウラル山脈、北極海からアフリカ北部までの広大な地域を対象としています。

類似の組織としてヨーロッパ地震学連合（ESC）がありますが、こちらは国際地震学及び地球内部物理学協会（IASPEI）の地域委員会という位置づけです。

EMSCの設立と歴史

EMSCは、ヨーロッパ地震学連合の勧告に基づき1975年に設立されました。この勧告は、ヨーロッパと地中海地域が地震活動の潜在的な危険度が高いという認識から、被害地震発生時に社会を守り、地震の危険性を評価するため、学術団体が迅速な測定と解析を行う必要性を示したものです。

より小規模な地震の震源決定も視野に入れ、国際地震学及び地球内部物理学協会と国際測地学・地球物理学連合の支援を受け、1976年1月1日にInstitut de Physique du Globe de Strasbourgとして発足。1983年に正式な規則が定められ、国際非営利組織として活動を開始しました。

EMSCは、ヨーロッパ・地中海地域で発生する地震の震源を決定し、地震発生から1時間以内に情報を周知する地震警報システムを運用しています。1993年には組織の規則が改定され、フランスのエソンヌ県に移転するなど、組織としての大きな発展を遂げました。

2009年のラクイラ地震では、地震学者が刑事責任を問われる可能性が生じましたが、EMSCは地震予知の困難さを訴え、地震ハザードマップの整備や建物の耐震性向上こそが重要であるという立場から、イタリア検察の対応に抗議しました。

EMSCの活動内容

EMSCは、以下の活動を通じて、ヨーロッパと地中海地域の地震学研究を支援しています。

迅速な震源決定と情報伝達: 主要な地震や被害地震が発生した場合、1時間以内に震源を特定し、関係機関に情報を伝達します。
データ収集と共有: 地震のパラメータや解析結果を広く共有し、国際地震センター（ISC）やアメリカ地質調査所地震情報センター（USGS-NEIC）などの機関にデータを提供します。
研究協力の推進: ヨーロッパや地中海沿岸諸国における地震学研究での協力を促進し、震源決定方法、地域の走時表の作成、マグニチュード計算手法など、共通の研究テーマを発展させます。
データ交換の促進: 各国の研究室間で地震データの交換を促進し、研究の進展を支援します。
ヨーロッパ地震データベースの構築: ヨーロッパの地震データベースとしての機能を維持し、情報の共有と活用を促進します。

EMSCの参加国

中心的に活動する組織を擁する国は以下の通りです。

イタリア
スペイン
ドイツ
フランス

その他にも、多くの国々がEMSCの活動に協力しています。

まとめ

EMSCは、ヨーロッパと地中海地域における地震研究の重要な拠点として、地震災害からの保護と地震学の発展に貢献しています。迅速な情報提供、データ共有、国際的な研究協力などを通じて、地域社会の安全に寄与しています。

外部リンク

European-Mediterranean Seismological Centre（英語）

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