ライオンズとオリオンズの遺恨

ライオンズとオリオンズの遺恨

1973年から1974年にかけて、太平洋クラブライオンズ（現在の埼玉西武ライオンズ）とロッテオリオンズ（現在の千葉ロッテマリーンズ）との間で激化した遺恨劇は、当時のプロ野球界で大きな話題となりました。この事件は単なるスポーツの枠を超え、ファンやマスコミ、さらには警察まで巻き込んだ騒動として記憶されています。

遺恨劇の背景

この遺恨の始まりは、1973年の開幕前の選手獲得競争に遡ります。太平洋はロサンゼルス・ドジャースからの選手、ジム・ラフィーバーの獲得を巡りロッテと熾烈な競争を繰り広げました。その結果ラフィーバーはロッテに入団し、太平洋は別の選手、ドン・ビュフォードを獲得することになりました。この獲得競争が両チーム間の対立を引き起こし、その後の激しい競争へと発展していったのです。

騒動の発端

1973年5月3日、川崎球場での試合中、ロッテが大量リードを得ると太平洋のファンが激昂し、フィールドに瓶や空き缶を投げ込むという事態が発生しました。この暴挙にロッテの選手たちはヘルメットを装着して守備を行う事態にまで発展しました。特にロッテの三塁手、有藤はスタンドからの物が投げ入れられるのを避けるために守備位置を変更し、これがさらに事態を悪化させました。

太平洋の監督、稲尾はその状況を利用し、セーフティバントの指示を出し、ロッテの監督金田が激高するという構造が生まれてしまったのです。この試合が引き起こした混乱はさらに拡大し、両チーム間の遺恨が一層深まりました。

演出された遺恨

遺恨劇の背後には、太平洋球団の青木一三専務取締役の意図がありました。観客動員を増やすための話題作りとして遺恨を演出することにしたのです。青木はロッテの金田に「博多の人々は祭りとケンカが好きだから、それを利用したい」と提案し、金田もそれに同意しました。この背景を知らないファンたちは、実際に起こった事件や暴言に対して感情的になっていくことになります。

その結果、観客は対立を助長され、試合は興奮した雰囲気に包まれ、観客動員にも成功しました。しかし、演出された遺恨劇が引き起こした混乱はプロ野球界全体に影響を与えることとなり、結局、意図せぬ事態につながってしまいました。

騒動の収束

1974年になると状況はさらに悪化します。両チーム間の対立は顕著になり、再び試合中に起こるトラブルや乱闘が頻発するようになりました。特に乱闘を煽るような報道や球団の行動が影響し、ファンの暴力行為がエスカレートしたのです。

この騒動は最終的に警察の介入を招き、両球団の経営者は警告を受ける事態となりました。両チームの選手や関係者は、ファンによって暴動に近い状況を作り出され、選手たちは球場に閉じ込められる事態にまで発展しました。

最後に

この遺恨劇は、当時のフロントが意図的に作り出したものであったが、結果として多くの人々が巻き込まれ、プロ野球のイメージにも影響を及ぼしました。球団間の対立は単なる競争ではなく、観客を巻き込む形の大騒動へと発展したこの出来事は、今なお多くのプロ野球ファンに語り継がれています。全ての騒動の背景には、経営上の苦しい状況や観客動員への切実な思いがあったことも忘れてはなりません。

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