ライデン (餓狼伝説)

ライデン（ビッグ・ベア）：格闘ゲーム史に名を刻む覆面レスラーの軌跡

SNKの対戦型格闘ゲーム『餓狼伝説』シリーズにおける人気キャラクター、ライデン。その正体は、かつてはプロレスラーとして活躍していたが、八百長疑惑によって所属団体を追放された過去を持つ、複雑な人物です。本記事では、彼のもう一つの顔であるビッグ・ベアについても深く掘り下げていきます。

正統派レスラーから覆面ヒールへの転落

かつては、ファイヤースープレックスに登場するビッグ・ボンバーダーとタッグを組むなど、正統派のプロレスラーとして活躍していました。しかし、ボンバーダーの裏切りによって八百長疑惑をかけられ、協会から追放されてしまいます。この屈辱的な経験から、彼は覆面を被り、ストリートファイトで鬱憤を晴らす日々を送るようになりました。

そんなライデンに目をつけたのは、悪の帝王ギース・ハワードです。ギースは彼を自身の開催する格闘大会「キング・オブ・ファイターズ」に引き込みます。初代『餓狼伝説』では、ギースの部下として、テリー・ボガードたちと激闘を繰り広げます。しかし、敗北を喫したことで、自身の過ちに気付き始めます。ギースの死（と思われた出来事）を機に、彼は『餓狼伝説2』と『餓狼伝説スペシャル』において、マスクを脱ぎ捨て、正統派レスラー「ビッグ・ベア」として生まれ変わります。

豪州を舞台に新たな戦いが始まる

『餓狼伝説2』と『餓狼伝説スペシャル』では、舞台はオーストラリアのアリススプリングスへと移ります。ステージ背景にはトレーラーが配置され、『餓狼伝説2』では「BIG BEAR」、『餓狼伝説スペシャル』では「SPECIAL」と記されています。奥にはエアーズロックがそびえ立ち、雄大な自然の中で繰り広げられる戦いは、ライデンの新たな一歩を象徴しているかのようです。『餓狼伝説スペシャル』では、特定の条件下で勝利すると、キム・カッファンが空を飛んでいく演出を見ることができます。

悪役と正義の狭間で揺れ動く魂

『餓狼伝説 WILD AMBITION』では、初代『餓狼伝説』の時代設定に戻り、ライデンは再び悪役として登場します。1Pカラーはビッグ・ベア時代の衣装に覆面を被った姿ですが、2Pカラーは初代『餓狼伝説』と同様にヒゲのない、上半身裸にタイツ姿となっています。

様々なゲーム作品に登場する中で、ライデンのデザインや設定は微妙に変化していきます。例えば、『餓狼伝説PREMIUM』では、レスラー風ではなく用心棒のようなスーツ姿で、スキンヘッドに黒いヒゲという、これまでのイメージとは異なる姿で登場しています。

客演作品での活躍と人間味

『CAPCOM VS. SNK』シリーズでは、『餓狼伝説 WILD AMBITION』の1Pカラーのデザインで登場します。ギースへの忠誠心は薄れており、むしろ彼と決別したいという意思が感じられます。キム・カッファンからは悪人として糾弾されますが、キム自身もライデンの本質は悪人ではないことを理解しており、二人は複雑な関係性を築いています。他の格闘家たちとの交流も描かれており、ザンギエフとは意気投合したり、チャン・コーハンに「ライデン2号」になるよう勧誘したりと、ユーモラスな一面も垣間見えます。

『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズでは、初期の段階でチーム編成に検討されたものの、最終的には他のキャラクターに取って代わられていました。しかし、『KOF XII』でシリーズ初参戦を果たし、『KOF XIII』ではキム・カッファン、ホア・ジャイとチームを組み、正式参戦を果たします。このストーリーでは、ライデンはチャンとチョイの策略によって、キムと組まされることになります。ライデンはこれを好機と捉え、キムとも協力して大会に臨みますが、裏切られたことを根に持ち、大会終了後に仕返しをするという、彼の複雑な人間性が描かれています。

ゲーム性と技の解説

ライデンは、高い攻撃力と広い投げ間合いを持つ強力なキャラクターです。「毒霧」や「ハンギングブル」といった強力な技で、相手を圧倒します。しかし、「パワーウェーブ」のような飛び道具を出すとガードが固くなるなど、隙もあります。

『餓狼伝説2』、『餓狼伝説スペシャル』では、プロレスラーながらコマンド投げがないという珍しい特徴がありましたが、『餓狼伝説スペシャル』では「ベアボンバー」という強力なコマンド投げが追加されました。

彼の技は、判定が大きく、ダメージも高い打撃技から、相手の隙を突いた強力な攻撃や投げ技まで多岐に渡ります。しかし、体格の大きさゆえに食らい判定も大きく、飛び道具や無敵技を持つキャラクターには苦戦を強いられる側面もあります。

様々なゲーム作品を通して、彼の必殺技や超必殺技は、その威力の高さで知られています。『餓狼伝説スペシャル』で溜め込んだ「スーパードロップキック」は、超必殺技「ファイアーブレス」をも凌駕するほどの威力を持つこともあります。

技の詳細

ライデンの数々の技は、彼のキャラクター性を反映したものです。「毒霧」は悪役としての彼の象徴であり、ビッグ・ベアとしては使用しません。「ベアボンバー」や「サンダークラッシュボム」など、彼の巨体を活かした投げ技も強力です。また、「スーパードロップキック」は溜め時間によって威力が変化する、戦略性の高い技です。

ライデンの足跡と記憶

ライデンは、その複雑なキャラクター性と、シリーズを通して変化する役割、そして多彩な技の数々によって、多くのプレイヤーの記憶に刻まれています。彼の物語は、単なる悪役の物語ではなく、挫折と再生、そして友情や裏切りの複雑な人間ドラマを描いています。彼の存在は、『餓狼伝説』シリーズ、そして格闘ゲームの歴史に、大きな足跡を残していると言えるでしょう。

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