毒霧

毒霧（どくぎり）とは

毒霧とは、主にヒール系のプロレスラーが使用する、口から霧状の液体または粉末を噴射する反則行為です。英語圏ではAsian Mist、特に緑色の場合はGreen Mistと呼ばれます。

概要

レスラーは、赤や緑などの液体を相手の顔に向けて噴射し、視界を遮ります。これは凶器を用いた攻撃とみなされ、通常は反則とされます。そのため、レフェリーの目を盗んで使用されることが多いです。毒霧は、攻撃のほか、威嚇やパフォーマンスとしても用いられます。

経緯

ザ・グレート・カブキがアメリカ遠征中に、自身のキャラクターをより際立たせるためのアイデアとして考案しました。火を使うシークとは異なる、口から何かを噴射するパフォーマンスを模索していたカブキは、シャワー中に天井の蛍光灯にお湯を吹きかけた際、虹が見えたことから液体の噴射を思いつきました。当初は、観客にオリエンタルな雰囲気を楽しんでもらうことが目的でした。

扱い

毒霧の扱いは団体によって異なり、反則とみなす場合と、技として認める場合があります。新日本プロレスではグレート・ムタの毒霧は反則とされませんが、TAJIRIがG1に初参戦した際には、毒霧を使用しない約束を強いられました。WWEやWCWでも反則とみなされ、レフェリーに見つからないように使用されるのが一般的です。

仕掛け

毒霧の仕掛けは、使用者によって異なりますが、一般には秘密にされています。カブキは、半引退後にゴム風船やコンドームに毒霧の素を仕込み、使用時に噛み切って噴射する方法を明かしました。しかし、リング上での激しい動きで破裂する可能性もあるため、リング下に隠したり、セコンドに持たせたりする説も存在します。ムタが試合中に毒霧噴射後に口から何かを落とした場面が目撃されており、この説の裏付けとなっています。

成分

毒霧の成分は、アンモニア水、ニンニク、玉ねぎ、炭酸水、食紅など諸説ありますが、公式には明らかにされていません。TAJIRIのグリーンミストはワサビ、鬼神ライガーの毒霧にはタバスコが含まれていることが明かされています。吹きかけられた相手は、目に染みる、目が焼ける、臭いなどの症状を訴えます。カブキは、毒霧の成分について「食物が材料」であることを示唆しており、チョークを試したものの、口の中でベタつくため断念したと語っています。

主な使用者

ザ・グレート・カブキ
グレート・ムタ（黒師無双）
TAJIRI
キラー・カーン
ケンドー・ナガサキ
天龍源一郎
大仁田厚

カブキは、ムタとTAJIRIのみを毒霧の正当な後継者として認めています。カブキの毒霧は美しさを追求したものであり、ムタは攻撃のタイミングを重視し、TAJIRIは攻撃に特化しています。

派生

毒霧と同様に、水や酒などを吹き付ける行為も存在します。Gammaやランス・アーチャーは水、矢野通や金丸義信は酒を使用します。トリプルHは、入場時に水を口に含み、パフォーマンスとして噴射します。

エピソード

カブキは試合中に誤って毒霧を飲んでしまったことがある。
上田馬之助がカブキ戦で黄色い毒霧を吐いたが、不慣れなため噴出しただけになった。
ラッシャー木村が天龍源一郎に一度だけ緑の毒霧を吐いた。
ムタがパワー・ウォリアー戦で毒霧をイスで跳ね返され、自身が浴びてしまった。
武藤敬司が、花粉症で毒霧がうまく吹けないと語ったことがある。
永田裕志がTAJIRIのグリーンミストを浴びてから、青色のブルーミストを使うようになった。
木戸修がムタの毒霧を浴びた際、武藤敬司に3日間口をきかなかった。
* 2020年以降、新型コロナウイルスの影響で、飛沫感染の可能性がある毒霧の使用を自粛する選手も出ている。

テレビ番組において

テレビ朝日の番組「シルシルミシル」で、TAJIRIが一般人にグリーンミストの吹き方を指導しました。番組内では、高校生からの質問に答える形で、TAJIRIが実際に高校生に指導を行いました。TAJIRIは、グリーンミストの成分は秘密であること、練習用には抹茶ラテなどの飲食物を使用しないことなどを説明しました。

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