ライト R-2600

ライト R-2600 サイクロン 14：航空史を彩る星型エンジン

ライト R-2600 サイクロン 14（Wright R-2600 Cyclone 14）は、アメリカ合衆国のカーチス・ライト社によって開発・製造された航空機用空冷星型エンジンです。1930年代から1940年代にかけて、数多くの軍用機に搭載され、その卓越した性能で第二次世界大戦における航空戦力の重要な一翼を担いました。通称として「ツイン・サイクロン（Twin Cyclone）」エンジンとも呼ばれています。

開発の経緯

カーチス・ライト社は、R-1820 サイクロン 9の開発で大きな成功を収めました。この成功を基に、同社は更なる高性能エンジンの開発を目指し、1935年にR-1820を複列14気筒化したR-2600を開発しました。R-2600は、その強力な出力と信頼性の高さから、アメリカ陸軍のA-20 ハボック、B-25 ミッチェル、アメリカ海軍のSB2C ヘルダイバー、TBF アベンジャーなど、第二次世界大戦で活躍した数々の軍用機に採用されました。

主要諸元 (GR-2600-C14)

タイプ：空冷星型14気筒
ボア・ストローク：155.6 mm × 160.2 mm
排気量：42.7 L
全長：1,576 mm
直径：1,397 mm
空虚重量：930 kg
燃料供給方式：オートマチック・ミクスチャ・コントロール付ストロンバーグ PR48A 降流式キャブレター
過給機：機械式1段2速遠心型過給機
潤滑油機構：ドライサンプ 及び 圧縮機、ポンプ機2基
馬力
高度 975 m 時：1,750 hp/2,600 rpm
高度 4,575 m 時：1,450 hp/2,600 rpm
出力重量比：0.86 hp/lb (1.40 kW/kg)
圧縮比：6.9:1

主な搭載機

R-2600は、以下の航空機に搭載され、その性能を大きく向上させました。

XF6F-1/2 ヘルキャット
SB2A バッカニア
SB2C ヘルダイヴァー
TBF/TBM アヴェンジャー
PBJ ミッチェル
PBM-1/3 マリナー
A-20 ハヴォック
A-22/A-30
A-25 シュライク
B-23 ドラゴン
B-25 ミッチェル
バルティモア

これらの航空機は、R-2600の搭載によって、優れた速度、航続距離、積載能力を発揮し、第二次世界大戦における連合国軍の勝利に大きく貢献しました。

各国への影響

R-2600の技術は、海外にも影響を与えました。ベースとなったR-1820はソビエト連邦でシュベツォフ M-25としてライセンス生産されましたが、ソ連内での独自改良により、R-2600相当のシュベツォフ ASh-82が製造されました。このように、R-2600は各国の航空機開発に刺激を与え、航空技術の発展に貢献しました。

まとめ

ライト R-2600 サイクロン 14は、航空史における重要なエンジンの一つです。その卓越した性能は、数々の軍用機の性能を向上させ、第二次世界大戦における航空戦力の発展に大きく貢献しました。また、その技術は海外にも影響を与え、航空技術の発展に寄与しました。R-2600は、航空史にその名を刻む、傑作エンジンとして記憶されるでしょう。

参考文献

* Leonard Bridgman , Jane's fighting aircraft of World War II , New Jersey:Random House USA Inc. (1997) ISBN 0-517-67964-7

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