ライン級支援母艦
ライン級支援母艦(
ドイツ語: Tender Rhein-Klasse)は、
ドイツ海軍が運用していた支援艦および母艦の艦級であり、西
ドイツと統一
ドイツの歴史を背景に生まれました。本級には、
水雷母艦を基盤にした401型、
掃海母艦の402型、
潜水母艦の403型という3つのサブクラスが存在しています。
来歴
第二次世界大戦後、
ドイツは連合軍の軍政下で一時的に非武装化されましたが、
1949年に
ドイツ連邦共和国(西
ドイツ)が成立すると、1950年代に入ると軍の再編が進みました。特に
1955年には連邦軍が設置され、翌年には海洋戦力となる連邦海軍(Bundesmarine)が創設されることになります。新たな海軍力を確立するため、西
ドイツ海軍は1966年に最初の艦艇新造計画を発表し、11隻の母艦を建造することが決定されました。この計画の一環として、ライン級支援母艦の設計が
1957年から1959年にかけて行われました。
設計
ライン級支援母艦は、特定の艦種に対する支援能力を持つ多用途艦として設計されており、主に貨油200トンおよび魚雷の予備弾40発を搭載できます。また、「ライン」型および「ラーン」型は、さらに200トンのドライカーゴを積むことが可能です。これにより、
指揮艦や
宿泊艦、船団護衛艦、
機雷敷設艦としても運用されるため、非常に柔軟な艦艇となっています。特に「ネッカー」「ヴェラ」「ドナウ」は、訓練艦としても使用されました。
主機関については、401型と403型はマルチプル・ディーゼル方式に基づく機械駆動推進を採用しており、402型は
ディーゼル・エレクトリック方式による電気推進が導入されています。物資の移送を効率化するために、401型では左舷に、402型では両舷に
クレーンが装備されています。ただし、403型は兵装に100mm砲を持たず、装備していたのは40mm機銃のみでした。
配備
人員不足のため、「イーザル」「ヴェーザー」「ルール」「レッヒ」「ドナウ」の艦艇は1968年から1971年にかけて予備役へ編入されました。その中でも「ドナウ」は1970年に再就役を果たし、「レッヒ」も1975年に再び艦籍に復帰しました。しかし、「ヴェーザー」は
ギリシャ海軍に、また「ルール」「エルベ」「イーザル」は
トルコ海軍に譲渡され、軍事援助としての役割を果たしました。
さらに、1987年6月15日には、「ネッカー」が
ポーランド海軍の演習において30mm機銃の射撃を受け、小破するという事件も発生しました。
参考資料
ウィキメディア・コモンズには、ライン級支援母艦に関連する画像や資料が収集されています。さらに、日本の
海上自衛隊における
掃海母艦「はやせ」についても併せて知識を深めることをお勧めします。