ライヴ・アット・サン・クエンティン

『ライヴ・アット・サン・クエンティン』は、アメリカ合衆国を代表するブルース・ミュージシャン、B.B.キングによって1990年にリリースされたライブ音源を中心としたアルバムです。

この作品の最大の特徴は、カリフォルニア州にあるサン・クエンティン州立刑務所という特別な場所で行われたライブパフォーマンスが大部分を占めている点にあります。受刑者たちの前で披露されたキングの魂のこもったブルースは、その場の空気感とともに記録されています。ただし、アルバムの最後の曲である「ピース・トゥ・ザ・ワールド」のみはスタジオで別途録音された楽曲が収録されています。

本作は発表後、音楽業界で高い評価を受け、特に伝統的なブルースの分野における功績が認められました。その証として、1991年に開催された第33回グラミー賞において、最も優れたトラディショナル・ブルース・レコーディングに贈られる賞を見事受賞しています。

一方で、音楽批評家からの評価は分かれました。例えば、著名な音楽レビューサイトであるオールミュージックのマイケル・ガルーチ氏は、このアルバムに対して5点満点中1.5点という厳しい評価を下しています。彼はレビューの中で、「キングはいつものように形式的な演奏をこなしているにすぎない」と指摘し、ライブアルバムとしては期待外れであるかのような見解を示しました。

アルバムに収録されている楽曲は、B.B.キングのキャリアを代表する名曲から、この時期ならではのナンバーまで多岐にわたります。全14曲の構成は以下の通りです。

B. B. King Intro (作曲: B.B. King) – 1:58
Let the Good Times Roll (作曲: Sam Theard, Fleecie Moore) – 5:07
Every Day I Have the Blues (作曲: Memphis Slim) – 4:41
Whole Lotta Loving (作曲: B.B. King, Jules Bihari) – 3:26
Sweet Little Angel (作曲: B.B. King, Jules Taub) – 3:10
Never Make a Move Too Soon (作曲: Stix Hooper, Will Jennings) – 7:51
Into the Night (作曲: Ira Newborn) – 4:32
Ain't Nobody's Bizness (作曲: Porter Grainger, Everett Robbins) – 5:00
The Thrill Is Gone (作曲: Rick Darnell, Roy Hawkins) – 6:25
Peace to the World (作曲: Trade Martin) – 3:52
Nobody Loves Me But My Mother (作曲: B.B. King) – 8:08
Sweet Sixteen (作曲: B.B. King, Joe Josea) – 6:27
Rock Me Baby (作曲: B.B. King, J. Josea) – 3:28

このライブとスタジオ録音には、B.B.キング自身のボーカルとギターを中心に、彼のバンドメンバーが参加しています。参加ミュージシャンは以下の通りです。

B.B.キング: ボーカル、ギター
レオン・ウォーレン: リズムギター
ユージン・キャリア: キーボード
マイケル・ドスター: ベース・ギター
カレプ・エンフリー: ドラムス
ジェイムズ・ボールデン: トランペット
ウォルター・キング: ミュージカル・ディレクター、サクソフォーン
* エドガー・シニガル: サクソフォーン

特別な場所での演奏を記録したこのアルバムは、B.B.キングのブルースパフォーマンスの一側面を伝える貴重な作品と言えるでしょう。グラミー賞受賞という輝かしい評価の一方で、一部には厳しい意見も存在するなど、様々な角度から語られるアルバムです。

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