ライヴ・アット・ザ・リーガル

『ライヴ・アット・ザ・リーガル』（Live at the Regal）は、アメリカ合衆国の偉大なブルース・ミュージシャン、B.B.キングによって1964年に収録され、翌1965年に発表されたライブ作品です。

このアルバムに収められているのは、1964年 11月21日に行われた公演の模様です。会場となったのは、シカゴにおいて特にアフリカ系アメリカ人のリスナーに深く愛された名門ライブハウス、リーガル・シアター。熱気あふれるその場所でのキングの演奏は、まさに真骨頂と言えるものです。

反響

発表当時の商業的な反応は必ずしも爆発的ではありませんでした。しかし、時間の経過とともに、この作品の評価は大きく高まっていきます。特に、B.B.キングが2015年5月14日に逝去してからは、再び注目を集め、複数の国で主要アルバムチャートにランクインする現象が見られました。

本国アメリカでは、1965年のリリース時にビルボードのR&Bアルバムチャートで最高6位を記録しましたが、総合チャートであるBillboard 200には届きませんでした。しかし、1971年になって初めてBillboard 200へのチャートインを果たし78位に達しました。そして、キングがこの世を去った後の2015年5月30日には、その最高順位を56位に更新しています。

イギリスでも、1965年当時は全英アルバムチャート入りはしませんでしたが、キングの没後、2015年5月23日付のチャートで96位を記録しました。スイスでも同様に、2014年9月28日付で初めて74位にランクインし、2015年5月24日には44位にまで上昇しています。

評価

本作は批評家から非常に高い評価を得ています。音楽評論家のダニエル・ジオフレはオールミュージックにおいて満点の5点を付け、「このレコードの至る所で名人芸のギターが鳴り響き、彼の長いキャリアの中でも最高の演奏が、ここに収められている」「B.B.キングのファンだけでなく、広い意味でのブルース・ファンにとっても絶対的に必携の作品」と絶賛しています。

権威ある『ローリング・ストーン』誌の選定リストにおいても、その評価の高さがうかがえます。「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では141位に、「オールタイム・グレイテスト・ライブ・アルバム50」では5位に選出されています。また、2006年にはグラミーの殿堂入り（Grammy Hall of Fame）を果たしており、その音楽的・歴史的な重要性が認められています。

ギター専門誌『ギター・ワールド』が2017年に企画した「B.B.キングのギターが最も偉大であった瞬間10」では、本作に収録されている「スウィート・リトル・エンジェル」での演奏が1位に輝いており、キングのギタープレイの頂点の一つと見なされています。

ただし、キング自身は後年、「多くの人々は、批評家に愛された『ライヴ・アット・ザ・リーガル』が、私の一番のお気に入りと思っている。確かに良いアルバムだけど、私自身のお気に入りではない。私自身は『マイ・カインド・オブ・ブルース』（1961年）を一番気に入っている。そう思っているのは私だけなんだが」とコメントしており、自身のキャリアに対する独特な視点を示しています。

後のミュージシャンへの影響

本作は、後続世代のミュージシャンに計り知れない影響を与えたことでも知られます。例えば、エリック・クラプトンは本作から大きな影響を受けたと公言しており、「もし彼の音楽を知らないなら、私の若き日の原点であるこのライブ盤を推薦する」と述べています。

ジミ・ヘンドリックスも本作の熱烈なファンであり、ジェフ・ベック・グループ在籍時のロン・ウッドとブルースの必聴盤について語り合った際、ウッドに本作のコピーを手渡したというエピソードが残っています。

ダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーも、2015年のキングの訃報に際してコメントを発表し、「私は15歳の頃に『ライヴ・アット・ザ・リーガル』を初めて聴き、彼の演奏と歌の響きと情感、そして、それらが観客に及ぼす影響に打ちのめされた」と、若き日に受けた衝撃を語っています。

これらのエピソードからも、『ライヴ・アット・ザ・リーガル』が単なるライブアルバムに留まらず、多くのギタリストやミュージシャンにとっての教科書的な存在であり、ブルースの歴史において極めて重要な作品であることが分かります。

収録曲

1. エヴリデイ・アイ・ハヴ・ザ・ブルース (Every Day I Have the Blues) (Peter Chatman) – 3:08
2. スウィート・リトル・エンジェル (Sweet Little Angel) (B.B. King, Jules Taub) – 4:09
3. イッツ・マイ・オウン・フォルト (It's My Own Fault) (John Lee Hooker) – 3:09
4. ハウ・ブルー・キャン・ユー・ゲット (How Blue Can You Get?) (Jane Feather) – 3:35
5. プリーズ・ラヴ・ミー (Please Love Me) (B.B. King, Jules Taub) – 3:01
6. ユー・アプセット・ミー・ベイビー (You Upset Me Baby) (Joe Josea, Maxwell Davis) – 2:39
7. ウォーリー、ウォーリー (Worry, Worry) (Davis Plumber, J. Taub) – 6:23
8. ウォーク・アップ・ディス・モーニン (Woke Up This Mornin') (B.B. King) – 1:44
9. ユー・ダン・ロスト・ユア・グッド・シング・ナウ (You Done Lost Your Good Thing Now) (B.B. King, J. Josea) – 4:33
10. ヘルプ・ザ・プアー (Help the Poor) (Charlie Singleton) – 2:38

参加ミュージシャン

B.B.キング - ボーカル、ギター
デューク・ジェスロ - ピアノ、オルガン
レオ・ローチー - ベース
サニー・フリーマン - ドラムス
ケニー・サンズ - トランペット
ジョニー・ボード - テナー・サクソフォーン
* ボビー・フォルテ - テナー・サクソフォーン

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