ライヴ・クリーム

ライヴ・クリーム

『ライヴ・クリーム』は、1960年代後半に活動したイングランドのロックトリオ、クリームが初めて公式に発表したライブ・アルバムである。バンド解散後の1970年4月、イギリスではポリドール・レコード、アメリカではアトコ・レコードよりリリースされた。商業的にも成功を収め、全英アルバムチャートで最高4位、アメリカのBillboard 200では15位を記録した。

本作は、1968年3月にサンフランシスコで行われたライブ公演から選ばれた4曲のライブ音源と、1967年に録音されたスタジオトラック「ロウディ・ママ」の計5曲で構成されている。「ロウディ・ママ」は、そのインストゥルメンタル部分が同時期に発表された楽曲「ストレンジ・ブルー」のバージョン違いと共通している点が特筆される。

リリース後、音楽評論家からの反応は賛否が分かれた。1970年のローリング・ストーン誌のレビューでは、「素晴らしいアルバム」と称賛され、「よく録音され、制御され、緊張感がある」パフォーマンスが評価された。バンドの緊密なアンサンブルは「興奮したリスナーを捉え」、単なるノスタルジアに留まらない魅力を持つと評されている。

一方で、ステレオ・レヴュー誌のポール・クレシュは、本作を「奇妙に不揃いなパフォーマンス」と表現しつつも、唯一のスタジオ録音である「ロウディ・ママ」を「3分の本当にエキサイトな曲」として高く評価した。また、録音品質についてはステレオで優れているとしつつも、アルバム全体としては「期待外れのジャズ/ロック」であり、特にエイドリアン・バーバーによるリミックス後の長尺曲は「目的の無い合間に苦しむ」箇所が見られると指摘したが、総合的には「非常に良い」と結んでいる。

後年の評価として、音楽データベースAllMusicのブルース・エーダーは本作に4つ星を与え、クリームの作品群の中で「最も一貫した素晴らしいアルバム」の一つと評している。彼によれば、これはデビューアルバム『フレッシュ・クリーム』からの比較的初期の楽曲を中心に構成されているにも関わらず、メンバー各々の「絶対的な音楽的才能」が存分に発揮されているためだという。特にジャムセッション中のメンバー間のスリリングなやり取りは「魅惑的」であり、このようなパフォーマンスが「ロック界における音楽的才能の賭け金を独力で上昇させた」とまで主張している。

対照的に、著名な評論家ロバート・クリストガウは「C+」という控えめな評価を与えた。彼はA面（アナログ盤の構成）は「紛れもなく魅力的」と認めつつも、例えばデビュー作の「スリーピィ・タイム」で見られたエリック・クラプトンの繊細なギタープレイが、本作では「平板なディストーションで覆われている」と批判した。また、2004年版のローリング・ストーン・レコードガイドに寄稿したJ.D.コンシダインは、本作とその後の続編『ライヴ・クリーム Vol.2』を、解散後のバンドの人気にあやかろうとした「単に金のためだけにリリースされた混乱した残り物」であるとして、わずか2つ星と酷評している。

本作の制作には、メンバーであるジャック・ブルース（ベース、ハーモニカ、ヴォーカル）、エリック・クラプトン（ギター、ヴォーカル）、ジンジャー・ベイカー（ドラムス）が参加している。プロデューサーは、「ロウディ・ママ」以外のライブトラックをフェリックス・パパラルディが、同曲をアーメット・アーティガンとロバート・スティグウッドが務めた。レコーディング・エンジニアとしてトム・ダウド、ビル・ハルバーソンが参加し、エイドリアン・バーバーはレコーディング及びリミックスを担当した。

『ライヴ・クリーム』は、解散後の発表という背景もあり、その評価は評論家の間でも大きく分かれている。しかし、短期間ながらロック史に大きな影響を与えたクリームのライブパフォーマンスの一端を伝える重要なドキュメントであることに変わりはない。特に、メンバーそれぞれの卓越した演奏能力がぶつかり合うスリリングなジャムは、現在でも多くのファンを魅了し続けている。

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