ライヴ:ライト・ヒア、ライト・ナウ

1993年に世に送り出された『ライヴ:ライト・ヒア、ライト・ナウ』（Live: Right Here, Right Now）は、ヴァン・ヘイレンにとって初めてとなる公式ライブ・レコーディング作品です。このアルバムは、彼らが1991年に発表したスタジオ・アルバム『F@U#C%K』のリリースに伴って行われた大規模なツアーでの熱気溢れるパフォーマンスを記録したものです。

収録されている楽曲の大多数は、当時リード・ボーカルを務めていたサミー・ヘイガー加入後の楽曲で構成されています。しかし、バンドの輝かしい歴史を彩るために、デイヴィッド・リー・ロスが在籍していた時期のクラシックな代表曲もいくつか選ばれています。例えば、初期の代表曲である「叶わぬ賭け」や「ユー・リアリー・ガット・ミー」、そして大ヒットを記録した「パナマ」や「ジャンプ」といったナンバーが、ヘイガーの歌唱で披露されており、新旧ファンを繋ぐ架け橋となっています。

また、本作にはバンドのオリジナル曲だけでなく、いくつかの特別なトラックが含まれています。サミー・ヘイガーのソロ名義のアルバムから「ワン・ウェイ・トゥ・ロック」や「ギヴ・トゥ・リヴ」が選曲され、彼のルーツを示すとともに、そのパワフルなボーカル・スタイルをバンドのサウンドに融合させています。さらに、ブリティッシュ・ロックの伝説であるザ・フーの代表曲「無法の世界」のカヴァーも収録されており、意外性と共に彼らの演奏力の高さを証明しています。

ライブ盤ならではの聴きどころとして、各メンバーのソロ・パフォーマンスも収められています。ベーシストのマイケル・アンソニーによる迫力のベース・ソロ「ウルトラ・ベース」や、ギター・ヒーロー、エドワード・ヴァン・ヘイレンの技巧が光るギター・ソロ「316」が収録されています。「316」の中では、アルバムの表題曲や「ミーン・ストリート」、「大聖堂」、「暗闇の爆撃」といった過去の楽曲からの印象的なフレーズが巧みに織り交ぜられており、エドワードの創造性と卓越したプレイを存分に堪能できます。

オリジナルの2枚組ディスクに加え、日本盤CDの初回生産分（品番: WPCP-5188-9）には、特別に2曲のライブ・テイクを収録したボーナス・ディスクが付属しました。これらのボーナス・トラック、「イーグルス・フライ」と「マイン・オール・マイン」は、当時アメリカ本国ではシングル「ジャンプ」のライブ・ヴァージョンのカップリング曲として発表されていたものです。これにより、日本のファンはより多くのライブ音源を楽しむことができました。

このライブ作品に参加したミュージシャンは以下の通りです。

サミー・ヘイガー（ボーカル、ギター）
エドワード・ヴァン・ヘイレン（ギター、キーボード、バッキング・ボーカル）
マイケル・アンソニー（ベース、バッキング・ボーカル）
アレックス・ヴァン・ヘイレン（ドラムス、パーカッション）

『ライヴ:ライト・ヒア、ライト・ナウ』は、サミー・ヘイガー期のヴァン・ヘイレンのエネルギーとバンドのライブでの実力を記録した貴重な作品であり、彼らのディスコグラフィーにおいて重要な位置を占めています。

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