ラクセンブルク宮殿

ラクセンブルク宮殿は、オーストリアのラクセンブルクに位置する、複数の離宮や城が集まった場所です。首都ウィーンの南方に位置し、かつてはハプスブルク家の重要な拠点の一つでした。「ラクセンブルク城」とも呼ばれています。

歴史

オーストリア＝ハンガリー帝国が崩壊した1918年、宮殿の所有権はオーストリア共和国へと移りました。しかし、1938年1月7日には、ハプスブルク＝ロートリンゲン家への返還が決定されます。しかし、その実現前にオーストリア・ナチスがナチス・ドイツに宮殿を贈与してしまったという歴史があります。

現在、広大な敷地は自然公園として整備され、市民の憩いの場として親しまれています。

主要な建造物

ラクセンブルク宮殿には、いくつかの重要な建造物があります。

Altes Schloss：旧城を意味し、宮殿群の中心的な存在です。その歴史は古く、様々な時代の建築様式が混ざり合っています。
ブラウアー・ホーフ（Blauer Hof）：皇帝フランツ・ヨーゼフ1世と皇后エリーザベトが新婚初夜を過ごした場所として知られています。また、1858年には皇太子ルドルフがこの宮殿で誕生しました。皇太子の誕生を祝して、ヨーゼフ・シュトラウスが『ラクセンブルク・ポルカ』を作曲しています。オーストリアの皇太子は、この宮殿で新婚初夜を迎えるのが慣例となっており、ルドルフ皇太子とその妃ステファニーも同様にここで新婚初夜を過ごしました。
フランツェンブルク（Franzensburg）：人工の島に建てられた城で、フランツ1世によって建設されました。中世の城を模した外観が特徴的で、内部にはハプスブルク家の歴史に関する展示がされています。

現在

ラクセンブルク宮殿は、その歴史的な価値と美しい景観から、多くの観光客が訪れる人気のスポットとなっています。広大な自然公園では、散策やピクニックを楽しむことができ、都会の喧騒を忘れさせてくれるでしょう。

参考文献

タマラ・グリセール＝ペカール 著、関田淳子 訳『チタ：ハプスブルク家最後の皇妃』新書館、1995年5月10日。ISBN 4-403-24038-0。
* 江村洋『フランツ・ヨーゼフ：ハプスブルク「最後」の皇帝』河出書房新社〈河出文庫〉、2013年12月。ISBN 978-4-309-41266-5。

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