ラグーザ玉

ラグーザ・玉について

ラグーザ・玉は、1861年に江戸で生まれた日本の女性画家であり、その独自の才能と活動により、日本初の女性洋画家と称されています。本名は清原玉で、彼女は西洋名をエレオノーラ・ラグーザとし、夫は彫刻家のヴィンチェンツォ・ラグーザです。豊かな感性と緻密な技術を持ち、国際的な評価を受けることで知られる彼女の人生と作品を追いかけてみましょう。

初期の生涯と教育

1861年7月17日、清原玉は江戸の芝に生まれました。家族は植木屋であり、彼女は次女として育ちました。幼名は多代または多世で、若い頃から絵に興味を持ち始めました。彼女の教育は特に重要で、初期には「エイシュウ」に師事し、日本画や西洋画を学びました。そして、1877年に工部美術学校で彫刻家ヴィンチェンツォ・ラグーザと出会い、その後、彼の指導を受けることになります。

結婚とイタリアでの活動

1880年に20歳年上のヴィンチェンツォと結婚後、彼女は1882年に夫と共に彼の故郷イタリアのパレルモに渡ります。そこでパレルモ大学の美術専攻科に入学し、サルバトーレ・ロ・フォルテから油絵を学びました。さらに1884年には、夫が設立した工芸学校で絵画科の教師としても活動し、教育者としてもその名声を高めていきました。

国際的な受賞歴

ラグーザ・玉の画家としてのキャリアは非常に成功しました。1892年のイタリア博覧会では一等金賞を受賞し、さらには1940年のイタリアビエンナーレでも最高賞を獲得しました。しかし、これらの受賞はイタリア人としての出品だったため、日本国内ではあまり知られることがなく、彼女の名声は長らく評価されることはありませんでした。彼女はまもなく国際的な美術展での受賞歴を積み重ね、その画業への影響力を強化しました。

帰国と創作活動

1927年に夫のヴィンチェンツォと死別後、ラグーザ・玉は日本に帰りたいと願うのですが、当初はイタリア国籍を持っていたため帰国手続きで苦労します。しかし、1931年には小説家木村毅の新聞小説『ラグーザお玉』が話題となり、彼女の名が広く知られることになります。1933年には甥と共に51年ぶりに日本に帰国し、故郷の芝で画業を再開します。帰国後は、自然や村の生活を題材にした作品を多く描きました。

最期と遺産

1939年に脳溢血により急死したラグーザ・玉は79歳という生涯を全うしました。彼女の作品や記録は、多くの人々に影響を与え、記憶され続けています。特に彼女が寄贈したヴィンチェンツォの遺作は東京美術学校に保存され、日本における彼女の重要性を際立たせています。

展覧会と作品

ラグーザ・玉は、1933年に銀座伊東屋で「ラグーザお玉夫人絵画展覧会」を開催し、彼女の生涯唯一の個展として評価されました。また、彼女の死後も遺作展が開催され、1950年代には丸の内画廊で特別展が実施されるなど、彼女の作品は今も人々の心に残っています。代表作には「聖女ロザリア祭」「春」「エロスとサイケ」「ラグーザ肖像」「日本の村の娘たち」などがあります。

彼女の人生は、アートに対する情熱と努力の物語であり、今後も多くの人々にインスピレーションを与えることでしょう。

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