木村毅

木村 毅（きむら き）

木村毅は、1894年2月12日に岡山県勝南郡勝間田村（現在の勝田郡勝央町）に生まれました。文学への情熱は早くから芽生え、少年時代から雑誌『少年世界』や『文章世界』に作品を投稿するなど、文士の道を志しました。高等小学校を卒業後、木村は独学で学び、その後早稲田大学の英文科に進学しました。彼の同級生には、著名な作家たちが名を連ねていました。1917年に卒業後、木村は隆文館に勤務し、その後は友人たちが設立した春秋社に入社しました。

春秋社では、トルストイ全集の編集を手がけ、さらに宮崎安右衛門の『乞食桃水』や西田天香の『懺悔の生活』などの企画を立ち上げ、これらは次々とベストセラーとなりました。1921年には、『都新聞』に連載された中里介山の著作『大菩薩峠』の刊行を提案し、それが大評判を呼ぶ結果となりました。関東大震災後、木村は春秋社を辞職し、評論や翻訳の活動に励むことに決めました。

彼の代表作『小説研究十六講』（1924年）は大きな反響を呼び、川端康成や松本清張に影響を与えました。また、改造社の社長である山本実彦の依頼を受けて『現代日本文学全集』の編纂を行い、円本ムーブメントを引き起こしました。木村は明治文化研究会の同人としても活躍し、後には第3代会長を務めました。

1928年にはヨーロッパを訪れ、デュマの遺跡を探索したり、コナン・ドイルの翻訳権交渉を行ったりしました。彼の著作は小説、実録、文学評論だけでなく、明治文化に関する研究も豊富で、多数の作品を残しました。また、木村は日本フェビアン協会や労農党にも参加し、社会運動にも力を入れていました。

彼の最も功績のある研究分野は明治・大正文学の研究であり、著作『文藝東西南北』（1926年）ではその多読の知識を活かして、文学と社会の動向を照らし合わせる実証的なアプローチが評価されました。内田魯庵によりその姿勢が称賛され、尾崎秀樹からも明治文化の全体像を捉えようとする姿勢が高く評価されました。

1933年にはナチス・ドイツの焚書運動を受けて、日本国内で結成された学芸自由同盟に参加し、政府の不当検閲に対する抗議活動を行いました。早稲田大学百年史の編纂委員や神戸松蔭女子学院大学の教授としても活躍し、1978年には菊池寛賞を受賞しました。生涯を通じて多くの影響を与え続け、1979年9月18日に目黒の東邦大学附属大橋病院で亡くなりました。彼の業績は、日本文学の発展に多大な寄与を果たしました。

主な著作

木村毅の著作は多岐にわたりますが、以下にいくつかの主な作品を紹介します。

• - 『小説研究十六講』
• - 『文藝東西南北』
• - 『明治文学展望』
• - 『近代文学に現れたる神愛・自然愛・人間愛』
• - 『生活の哲学』

また、彼は多くの翻訳も手がけました。特にレフ・トルストイの作品が多く、これには『家庭のための物語』や『藝術とは何ぞや』が含まれます。

親族

木村毅の親族には、競泳選手でスポーツジャーナリストの木村象雷がいます。このように、彼は日本の文学界において重要な役割を果たした人物とされています。

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