ラッキークレープ

ラッキークレープ

かつて出版社バウハウスから刊行されていた月刊グラビア誌に、「ラッキークレープ」（LUCKY Crepu）があります。この雑誌は、主に10代の女性モデルを被写体としたグラビアを中心とした内容で、当時の出版業界で「お菓子系」と呼ばれる特定のジャンルに分類されていました。

概要

「ラッキークレープ」は、1997年8月号をもって創刊されました。その後、約2年4ヶ月にわたり刊行が続けられ、1999年12月号をもって休刊となりました。この期間中に発行された本誌は、合計29冊に上ります。

本誌が創刊された1997年は、日本の出版業界、特にグラビア雑誌の分野において、大きな変化が起こっていた時期でした。青少年保護育成条例に基づく有害図書の指定基準が厳格化され、これに伴い、多くのコンビニエンスストアチェーンがアダルト雑誌の店頭での販売を自主的に規制・制限する動きが強まっていました。この市場の変化に対応するため、出版社はヌードを含まない、よりソフトな路線のグラビア雑誌の創刊を相次いで行いました。その結果、1997年には本誌以外にも、『ワッフル』や『ジューシープレス』といった類縁の「お菓子系」グラビア誌が立て続けに登場し、このジャンルが一種のブームを迎えました。

誌名の特徴とデザイン

「お菓子系」グラビア誌は、その名の通り、誌名に「クリーム」をはじめとするお菓子の名前や、それに類する甘く柔らかいイメージの単語を用いる傾向が顕著に見られます。「クレープ」もまたお菓子の一種であり、このジャンルの命名規則に倣ったものと言えます。しかし、一般的なお菓子の「クレープ」がフランス語由来の「crêpe」と表記されるのに対し、本誌の公式な英字表記は「Crepu」と独特のスペルが採用されていました。

本誌の表紙デザインには、当時同じジャンルで先行していた『クリーム』誌のスタイルを意識したと思われる特徴が見られました。誌名表記においては、「LUCKY」の文字は比較的小さく控えめに扱われる一方で、「Crepu」の部分が大きく強調され、視覚的に強い印象を与えるレイアウトが採用されていました。

登場モデル

「ラッキークレープ」の誌面、特にメイングラビアページには、当時の読者から支持を集めたモデルたちが多数登場しました。例として、浅川ちひろさんや岡部令子さんといった名前が挙げられます。本誌の発行元であるバウハウス社は、以前から美少女グラビアの分野で高い評価と実績を持つ出版社として知られており、その出版社の特性を反映して、本誌に登場するモデルのレベルは非常に高かったと言われています。

関連媒体

本誌の刊行終了後も、「ラッキークレープ」の名前を冠した関連媒体が展開されました。

ムック本: 本誌のグラビアページを再編集したムック本『ラッキークレープデラックス』が刊行されました。こちらは本誌の休刊後も継続して発行され、2002年10月までに合計8冊が発売されています。
デジタル媒体: デジタルメディアへの展開も行われました。1999年6月には、付録としてDVDが同梱された『クレープデジタルデラックス』が発行されています。
* 映像作品: 本誌やムック本とは異なる、純粋な映像作品も存在します。英知出版より、『ラッキークレープ』の名前を冠したビデオ作品が5本、DVDが1本発売されていました。

このように、「ラッキークレープ」は、1990年代後半のお菓子系グラビア誌ブームの中で誕生し、短期間ながらもそのジャンルを代表する雑誌の一つとして、多様な媒体展開を見せた雑誌と言えるでしょう。

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