ラッシュ (バス用品)

ラッシュ：自然と倫理を大切にするコスメブランド

ラッシュは、1976年にイギリスで設立された、ハンドメイド化粧品とバス用品を扱う多国籍企業です。ドーセット州に本社を置くラッシュは、現在、世界49の国と地域で約930店舗を展開するまでに成長しました。新鮮で高品質な自然素材を使用し、色彩豊かで魅力的な製品を数多く提供していることが、その成功の大きな要因となっています。

創業から現在までの歩み

ラッシュの前身は、マーク・コンスタンティンとエリザベス・ワイアーが設立した美容関連会社です。当初は他の企業に製品を供給していましたが、1988年には通販事業に参入。しかし、事業はうまくいかず1994年に経営危機に陥ります。

そこで、British Ensign Estatesからの投資を受け、新たなブランド名として顧客から公募された「Lush」が採用されました。1994年にドーセット州プールに本社と工場を設立し、翌年には1号店をオープン。少人数による持分会社の形式を取り、パートナー企業やフランチャイズを通して世界中に事業を拡大しています。

製品の特徴：五感を刺激する、手作りコスメ

ラッシュの製品は、食品や植物由来の天然成分を主体としたバス用品、洗顔料、ボディケアクリームなどが中心です。石鹸や入浴剤は、まるで菓子のような見た目と鮮やかな色彩、そしてバラやハチミツ、キュウリなどを使用した芳醇な香りが特徴です。

特に固形石鹸は、大きな塊のまま陳列され、顧客が購入したい分量だけを切り分けてもらうという、独特の販売方法が採用されています。また、各製品には、製造担当者の顔写真と名前が書かれたラベルが貼られ、手作り感あふれる温かみのあるブランドイメージを構築しています。

ラッシュジャパン：日本市場での成功

日本におけるラッシュの事業展開は、1998年に設立されたラッシュジャパン合同会社が行っています。ラッシュとのフランチャイズ契約に基づき、1999年に東京・自由が丘に日本初の店舗をオープン。その後、神奈川県厚木市に本社を置き、現在は愛甲郡愛川町に移転しています。

ラッシュジャパンは、ラッシュの販売手法に加え、店内での製品実演販売といった独自のサービスを展開。これにより、高いブランド認知度を獲得し、2007年の「ストア＆サービスブランド500」調査では、大手企業に次ぐ高い評価を得ています。売上の一部を環境・社会問題に関する団体に寄付するなど、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。現在、日本国内には78店舗を展開しています。

動物愛護への取り組み

ラッシュは創業以来、動物の権利擁護を重要な理念として掲げています。動物実験を行った材料の使用や、動物実験を行う企業との取引を一切行わないことを宣言。また、「チャリティーポット」と呼ばれるボディクリームの売上を動物愛護団体に寄付するなど、積極的に動物愛護運動を支援しています。ただし、日本法人は、暴力的な行動には反対という立場から、一部団体への支援は行わないとしています。

フカヒレ漁反対キャンペーンと課題

ラッシュジャパンは、2014年に「残酷なフカヒレ漁反対キャンペーン」を実施しました。しかし、寄付先の団体がすべてのサメ漁に反対していることから、サメ漁が盛んな地域からの反発を受けました。このため、キャンペーン名は「残酷なフィニング反対キャンペーン」に変更され、規模も縮小されました。この出来事は、企業の社会貢献活動における慎重さと、多角的な視点の重要性を示唆しています。

ラッシュは、自然素材へのこだわりと倫理的な姿勢を貫き、独自のブランドイメージを確立しています。今後も、環境保護や動物愛護といった社会貢献活動を通して、持続可能な企業として成長を続けることが期待されます。

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