ラティーナ原子力発電所

ラティーナ原子力発電所は、イタリアのラツィオ州ラティーナ県に位置する原子力発電所であり、その歴史は1958年の建設開始に遡ります。1962年12月に初臨界を達成し、翌1963年5月には送電網との同期を開始、1964年1月には商業運転を開始しました。この発電所は、153MWeの発電能力を持つマグノックス炉を採用していました。

当初、発電所は210MWeの発電能力を目指していましたが、運用中に冷却材として使用されていた二酸化炭素による軟鋼の酸化が問題となりました。特に重要な部分の温度が390度から360度になるにつれて、酸化の危険性が高まることが判明しました。この問題を解決するため、運転温度を390度から360度に下げる必要が生じ、結果として発電出力が24%減少し、160MWeに低下しました。この出力低下は、発電所の効率に影響を与えました。

ラティーナ原子力発電所は、1985年に1992年までの運転認証を更新しましたが、1987年のチェルノブイリ原子力発電所事故の影響を受け、運転を停止することになりました。チェルノブイリの事故は、原子力発電に対する安全性への懸念を世界的に高め、多くの国で原子力政策の見直しが行われました。ラティーナ原子力発電所もその例外ではなく、事故後、早期の閉鎖が決定されました。

現在、発電所は廃炉作業の段階に入っており、2030年までの解体完了を目指しています。廃炉作業は、放射性物質の安全な処理や施設の解体など、多くの複雑な工程を含んでいます。この作業は、原子力施設の廃止措置における重要な事例として、今後の他の原子力施設の廃炉にも影響を与える可能性があります。

ラティーナ原子力発電所の歴史は、原子力発電の技術的な課題や安全性の問題、そして社会的な影響を考える上で貴重な教訓を提供しています。発電所の建設から運用、そして廃炉に至るまでの過程は、原子力エネルギーの利用における複雑さとリスクを浮き彫りにしています。

関連項目

イタリアの原子力

参考文献

Nuclear power in Italy, Uranium Information Centre
Nuclear power in Italy at the WNA site.
Operating experience with the Latina Magnox reactor, Ente Nazionale per l'Energia Elettrica. (Links to 13p PDF.)

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