ラティーナ県

ラティーナ県（Provincia di Latina）は、イタリア共和国ラツィオ州に属する県で、県都はラティーナ市です。ラツィオ州の南部に位置し、ティレニア海に面しているほか、南東部ではカンパニア州と接しています。県都ラティーナは、フロジノーネから西南西に約41km、首都ローマから南東に約61km、ナポリから西北西に約133kmの距離にあります。

地理

ラティーナ県は、ラツィオ州内で最も面積が小さい県ですが、多様な地理的特徴を有しています。県北東部は石灰岩質の丘陵や山地が広がり、アウルンチ山脈、レピーニ山脈、アウソニ山脈などの山々が連なっています。最高峰はアウルンチ山脈のペトレッラ山（1533m）です。一方、県北西部、アプリーリアからテッラチーナにかけてのティレニア海沿岸には、ポンティーネ平野が広がっています。この地域はかつてポンティーネ湿原として知られる湿地帯でしたが、1930年代にムッソリーニ政権によって排水・土地改良事業が行われ、現在の姿になりました。また、ティレニア海に浮かぶポンツィアーネ諸島もラティーナ県に含まれます。

主要な都市と地域

2001年の国勢調査によると、県内には人口2万人以上の都市が複数存在します。主な都市としては、ラティーナ、アプリーリア、フォルミア、テッラチーナ、チステルナ・ディ・ラティーナ、フォンディ、ガエータなどが挙げられます。県北東部の山岳地帯には、中世以来の小さな集落（borghi）が点在しており、コーリ、セッツェ、プリヴェルノなどがその中心都市です。県西部のアグロ・ポンティーノ地域には、1930年代に建設されたラティーナやサバウディアなどの都市があります。ガエータやフォルミアといった県南東部の地域は、伝統的にカンパーニア地方に属しており、方言もカンパニアの方言と共通点が多いです。

歴史

ラティーナ県は、1934年12月18日に「リットリア県」として設置されました。1930年代、ムッソリーニ政権はポンティーネ湿原の干拓事業を実施し、これにより新たに生まれた平野には、北東イタリアからの入植者が多数移住しました。この干拓事業によってラティーナやサバウディアといった都市が建設され、県の発展の基盤となりました。第二次世界大戦中には、ドイツ軍が干拓地への海水注入や排水ポンプの破壊を試みたため、マラリアが一時的に蔓延するという被害も発生しました。

行政区画

ラティーナ県には、33のコムーネ（基礎自治体）が属しています。主要なコムーネとしては、ラティーナ、アプリーリア、フォルミア、テッラチーナなどが挙げられます。

文化・観光

ラティーナ県は、ティレニア海沿岸やポンツィアーネ諸島がリゾート地として知られています。また、セルモネータのヴァルヴィッショーロ修道院やプリヴェルノのフォッサノーヴァ修道院は、中世から続くシトー会の修道院であり、歴史的な価値も高いです。特にフォッサノーヴァ修道院は、トマス・アクィナスの終焉の地としても知られています。

ラティーナ県は、その多様な地理的景観、歴史、文化が魅力的な地域です。

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