ラトプラテカルプス

ラトプラテカルプスは、モササウルス科に属するプリオプラテカルプス亜科の絶滅した属であり、後期[[白亜紀]]のカンパニアン期、約8050万年前の地層から発見されています。主に北アメリカのメキシコ湾沿岸部と、かつて内海であった Western Interior Basin と呼ばれる地域から化石が産出しており、当時の海洋生態系を研究する上で重要な手掛かりとなっています。

発見と命名

ラトプラテカルプスは、2011年に古生物学者の小西卓哉とマイケル・W・コールドウェルによって命名されました。タイプ種は Latoplatecarpus willistoni で、ホロタイプ標本 TMP 84.162.01 が指定されています。このホロタイプ標本は、下顎骨を含むほぼ完全な頭骨と、頭骨以降の部分的な骨格から構成され、その保存状態の良さから、ラトプラテカルプスの形態を詳細に知る上で非常に重要な標本です。この標本はカナダのマニトバ州にある Pembina 山のピエール頁岩から産出し、カンパニアン中期初頭のものとされています。

さらに、DMNH 8769（非常に保存状態の良い頭蓋と頭骨以降の骨格）、SDSMT 30139、AMNH 2182の計3つの標本もL. willistoni に分類されています。

小西とコールドウェルは、ラトプラテカルプスの第2の種として、L. nichollsae をプリオプラテカルプス属から再分類しました。彼らによる系統解析の結果、ラトプラテカルプス属の単系統性は明確には示されませんでしたが、これまで疑問名とされていた Platecarpus somenensis の北米産化石（FMNHPR 465、FMNHPR 467、GSATC 220など）が L. nichollsae に分類されることが判明しました。個体発生学、生物層序学、古生物地理学的なデータに基づいた分析でも、この分類が支持されています。

ラトプラテカルプスの意義

ラトプラテカルプスの研究は、モササウルス類の進化、多様化、そして当時の海洋生態系を理解する上で非常に重要です。特に、プリオプラテカルプス亜科との関係性や、同時代のモササウルス類との比較研究は、系統分類における知見を深めるだけでなく、古生物地理学や古生態学の分野においても貴重な情報を提供しています。化石の発見された地層から、当時の海域の環境や生態系の様子を推測することも可能です。ラトプラテカルプスの化石は、白亜紀後期の海洋生態系を解明する上で、貴重なパズルのピースの一つと言えるでしょう。

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