後期白亜紀

後期白亜紀：多様な生物が繁栄した時代

後期白亜紀は、白亜紀の中でも新しい時代区分であり、約1億500万年前から6600万年前までの期間を指します。この時代は、地球の気候や地理が大きく変動し、生物界に大きな変化をもたらしました。後期白亜紀は、地質学的に、セノマニアン、チューロニアン、コニアシアン、サントニアン、カンパニアン、マーストリヒチアンの6つの期に分けられます。

気候

後期白亜紀の気候は、全体的に現在よりも温暖でしたが、その期間中に寒冷化する傾向も見られました。熱帯地域は赤道付近に限定され、高緯度地域では季節による気候変動が顕著でした。

地理

プレートテクトニクスの影響で、アメリカ大陸は徐々に西へ移動し、大西洋が拡大しました。北米大陸は西部内陸海路によって、東のアパラチア大陸と西のララミディア大陸に分断されました。インド亜大陸はアジアに向けて北上を続け、南半球ではオーストラリアと南極がまだ陸続きでした。アフリカと南アメリカは分離し始め、ヨーロッパは列島を形成していました。これらの島々には、独自の進化を遂げた恐竜が生息していました。

脊椎動物相

鳥頸類

後期白亜紀において、恐竜類は多様な進化を遂げました。特に、ハドロサウルス類、曲竜類、角竜類が北アメリカ北西部と東アジアで繁栄しました。ティラノサウルス類は北米の肉食恐竜として頂点に立ちましたが、アジアには小型で原始的な種も存在しました。堅頭竜類やドロマエオサウルス類も北米とアジアの両方で確認されています。テリジノサウルス類も同様に分布していました。一方、ゴンドワナ大陸では、アベリサウルス類やカルカロドントサウルス類が捕食者の中心であり、ティタノサウルス類が主要な植物食恐竜でした。スピノサウルス類もこの時代に生息していました。

鳥類は、エナンティオルニス類や真鳥類が多様化し、ヴェガヴィスのような初期の新[[鳥類]]も出現しました。ヘスペロルニス類のような大型で飛べない海鳥も進化し、外洋での生活に適応しました。

翼竜類

翼竜類は主にアズダルコ類が繁栄しましたが、プテラノドン類やタペジャラ類、ニクトサウルス類も存在しました。鳥類との競争により衰退したという説がありましたが、小型種の発見により、生態的な競争は限定的であり、系統的な衰退は明確ではないと考えられています。

哺乳類

北米ではエウトリコノドン類のような原始的な哺乳類が絶滅し始め、キモロドン類、多臼歯類、後獣類、真獣類が繁栄しました。南半球では、ドリオレステス類、ゴンドワナテリウム類などが独自の動物相を形成しました。哺乳類は一般的に小型で、肉食のデルタテリジウム類、軟体動物を食べるスタゴドン類、植物食性の多臼歯類など、様々な環境に適応していました。

海洋生物

モササウルス類が急激に進化し、食物連鎖の頂点捕食者となりました。現代型の大型サメも登場し、プレシオサウルス類やエラモサウルス類も多様化しました。これらの捕食者は硬骨魚類を餌とし、硬骨魚類も現代的な形態へと進化しました。一方で、魚竜類とプリオサウルス類は、セノマニアン-チューロニアン期の海洋無酸素事変で絶滅しました。

植物

白亜紀の終わり近くに、顕花植物が多様化しました。温帯地域では、マグノリア、サッサフラス、バラ、セコイア、ヤナギなどが繁栄しました。

白亜紀末の大量絶滅

後期白亜紀の終わりには、恐竜を含む多くの生物が絶滅する、白亜紀末の大量絶滅が起こりました。この大量絶滅は、地球史における大きな転換点であり、その後の生物進化に大きな影響を与えました。

後期白亜紀は、多様な生物が繁栄し、その後の大量絶滅へと繋がる重要な時代でした。この時代の研究は、地球の歴史や生物の進化を理解する上で非常に重要です。

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