ラハンウェイン抵抗軍

ラハンウェイン抵抗軍（RRA）とは

ラハンウェイン抵抗軍（Rahanweyn Resistance Army, RRA）は、別名リーウィン抵抗軍とも呼ばれ、ソマリア南部に存在した軍閥です。1995年にソマリアの氏族であるラハンウェインによって結成され、2002年には南西ソマリア国として独立を宣言しました。2004年からはソマリア暫定連邦政府に参加しましたが、その後自然消滅しました。

歴史的背景

1980年代からソマリアでは内戦が勃発し、当初は氏族や支族単位での反政府運動が中心でした。しかし、ハウィエ氏族を中心とした統一ソマリ会議（USC）が勢力を拡大し、1990年に首都モガディシュを掌握、それまでのソマリア政府に代わる最大勢力となりました。しかし、USCはソマリ国民同盟（SNA）とソマリ救国同盟（SSA）に分裂し、モガディシュで戦闘を開始、国連軍の介入も失敗し、内戦は泥沼化しました。

結成

1995年9月、SNAの指導者モハメッド・アイディードの息子、フセイン・アイディードがSNAの一軍を率いてラハンウェイン氏族の居住地域であるバイドアを占拠しました。これに反発したラハンウェイン氏族の有力者が、10月13日にバイドア西方のジャフェイでラハンウェイン抵抗軍を結成しました。

RRAは、旧軍将校、宗教指導者、知識人などで構成され、SNAとの戦闘を開始しました。SNAは1996年1月にフドゥールを占拠しましたが、同年7月にモハメッド・アイディードが暗殺され、フセイン・アイディードが指導者を継承したものの、SNAは次第に力を失いました。

ハサン・シャティガドゥドは、当初RRAの一司令官として参加し、1997年から議長に就任しました。副議長にはアダン・モハメド・ヌール・マドベ、第2副議長にはムハンマド・イブラヒム・ハブサデが就任しました。1998年10月、RRAはフドゥールを占拠し、その名が世界に知られるようになりました。1999年6月6日にはバイドアを占拠しました。

暫定国民政府との関係

2000年、ジブチのアルタでソマリアの有力軍閥代表が集まり、ソマリア暫定国民政府（TNG）が成立しました。しかし、TNGは求心力が弱く、SNA、RRAはいずれも参加しませんでした。SNAを率いるフセイン・アイディードは、2001年にTNGに対抗してソマリア和解再生評議会（SRRC）を結成しました。

ラハンウェイン氏族は、単純な統一国家を目指すTNGへの参加には消極的でしたが、ラハンウェイン居住地域を荒らしたフセイン・アイディードのSRRCへの参加もためらわれました。結局、リーダーのシャティガドゥドはSRRCへの参加を表明し、2001年5月27日にはTNGの支配地域ワンラウェインを攻撃しました。同年12月にはTNGからジブチでの会談を提案されましたが、シャティガドゥドはこれを拒否しました。

シャティガドゥドは2002年2月のインタビューで、RRAの戦力が4,000名であると語り、ソマリアを連邦制とすることを望んでいると述べました。

南西ソマリアの成立とその後

2002年4月1日、RRAの指導者シャティガドゥドは、支配地域を南西ソマリアとして独立を宣言しました。ただし、形式上はRRAと南西ソマリアは別組織とされ、シャティガドゥドはRRAの議長であり、南西ソマリアの大統領でもありました。南西ソマリアは、ラハンウェイン氏族の長老、RRA幹部、地元の宗教指導者、企業家など36名からなる調停委員会が運営することになりました。

2002年6月上旬、シャティガドゥドはエチオピアを訪問し、これが後のソマリア暫定連邦政府（TFG）につながりました。しかし、この訪問はマドベやハブサデとの間に軋轢を生む原因ともなりました。

同年6月下旬、副議長だったマドベとハブサデがシャティガドゥドの元を離脱し、RRA内部で抗争が始まりました。マドベらの離脱は、別の軍閥ジュバ渓谷連合の画策によるものとの説もありましたが、ジュバ渓谷連合はこれを否定しました。7月22日、マドベは自身がRRA議長になったと宣言しました。8月にはシャティガドゥドがバイドアを奪回しましたが、9月にはシャティガドゥドとマドベは休戦協定を結びました。2003年10月にはバイドア近郊の戦闘で、数百名が避難しました。

2004年にはソマリア暫定連邦政府（TFG）が成立しました。TFGは地方自治を大きく認める連邦制を標榜しており、南西ソマリアもこれに参加しました。2005年5月、シャティガドゥドとマドベの連合軍が、ハブサデの支配地域を攻撃しました。2006年には、イスラーム武装勢力イスラム法廷会議が急速に力をつけ、ソマリア南部の多くの地域を支配し、RRAの本拠地バイドアのすぐそばまで支配地域を広げましたが、エチオピアの参戦によりイスラム法廷会議は衰退しました。

2008年、別のイスラーム武装勢力アル・シャバブが力をつけ、RRAの支配地域を含むソマリア南部を占拠しました。RRAの本拠地バイドアも、2012年までアル・シャバブの支配下となりました。2014年にはシャリフ・ハッサン・シェイハ・アデンが南西ソマリアを再結成しましたが、RRAは関与しませんでした。

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