ラファイエット (空母)

フランス海軍航空母艦ラファイエット (La Fayette, R96)：アメリカ軽空母からの転身と輝かしい戦歴

フランス海軍の航空母艦「ラファイエット (La Fayette, R96)」は、アメリカ海軍の軽空母「ラングレー (USS Langley, CVL-27)」を起源とする艦艇です。第二次世界大戦後、1947年2月に予備役となった「ラングレー」は、1951年初めにフランスに譲渡され、「ラファイエット」として再就役しました。この際、艦名はフランス革命に貢献したラファイエット侯爵に由来しています。興味深いことに、太平洋戦争開戦時にアメリカが接収したフランスの豪華客船「ノルマンディー」を空母に改造する計画があり、その仮称が「ラファイエット」であったという歴史的な背景も持ちます。

トゥーロンを母港として運用された「ラファイエット」は、1953年6月まで第一次インドシナ戦争で重要な役割を担いました。当時、艦載機はF6FヘルキャットとSB2Cヘルダイバーで構成されており、激しい戦闘に参加したと考えられます。1953年から1954年にかけて近代化改修を受け、その後は地中海と大西洋のアフリカ沿岸での任務に従事しました。

1956年前半には、艦載機をF4UコルセアとTBFアベンジャーに更新し、南北に分割されたインドシナ沿岸での任務を継続。同年10月に勃発したスエズ動乱では、フランス海軍の空母「アローマンシュ」およびイギリス海軍の空母「イーグル」と共に、空挺および上陸作戦を支援する航空作戦に従事しました。また、1960年3月にはモロッコのアガディール地震で被災した地域への救援活動にも参加しています。

1962年には、アルジェリア独立に伴うピエ・ノワールのフランス本土送還という歴史的にも重要な任務に、フランス海軍参加艦艇の第一陣として従事しました。これは、アルジェリアからのフランス人移住者の大量帰還を支援する大規模な作戦でした。

「ラファイエット」は、10年以上にわたるフランス海軍での活躍の後、フランスが初めて建造した正規空母「クレマンソー」の就役を機に、1963年にアメリカに返還されました。そして、1964年にスクラップとして売却されました。

その期間中に「ラファイエット」は約350,000海里を航海し、19,805回の艦載機着艦を記録しました。インドシナでの貢献が評価され、フランス戦争十字賞を受章しています。現在、その艦名はフランス海軍のフリゲート「ラファイエット (F710)」に受け継がれています。

「ラファイエット」は、単なる軍艦を超えた存在でした。インドシナ戦争、スエズ動乱、そしてアルジェリア独立といった、20世紀半ばの世界情勢を反映する数々の重要な歴史的出来事に深く関わった艦艇です。その活動は、フランス海軍の歴史、そして冷戦時代の国際情勢を考える上で重要な資料となるでしょう。 「ラファイエット」の生涯は、時代背景と技術革新を反映した、一つの歴史的物語として後世に語り継がれるべきでしょう。

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