ラミントン山

ラミントン山：1951年の大噴火とその歴史

パプアニューギニアのオロ州、ポポンデッタ州都の南南西約10kmに位置するラミントン山は、標高1680mの成層火山です。その名前は、かつてクイーンズランド州の総督を務めたラミントン男爵に由来しています。熱帯雨林に覆われたこの山は、1951年まで地元住民の間では死火山だと考えられていました。なぜなら、それまで歴史的な噴火記録が存在しなかったからです。

1951年の大噴火：予兆と悲劇

1951年1月15日、ラミントン山山頂付近で地滑りが発生しました。これは、静寂を破る最初の兆候でした。翌日以降、噴煙の発生や地震の増加など、火山活動の高まりを示す現象が観測されます。そして1月18日、本格的な火山活動が開始。ついに1月21日10時40分頃（現地時間）、ラミントン山は凄まじい大噴火を起こしました。

噴火はプリニー式噴火と呼ばれるもので、大量の噴煙が上空15000mまで吹き上げられました。しかし、この噴煙柱の一部が崩壊し、高温の火砕流となって山腹を流れ下りました。この火砕流は、山麓の集落を襲い、特に北部のヒガツルなどの地域は壊滅的な被害を受けました。この大噴火により、2942名もの犠牲者が出ました。犠牲者の多くは、火砕流に伴う熱風による気道熱傷と肺水腫が死因でした。

噴火後の状況と調査

大噴火直後から、ラミントン山山頂付近には安山岩質の溶岩ドームが出現し始めました。3月初旬には爆発により一度消滅しましたが、その後再び成長し、翌年1月には高さ570m、体積1km3に達しました。この溶岩ドームは現在も残っています。

オーストラリアの火山学者ジョージ・テイラーは、この大噴火の詳細な調査を行い、被害状況を記録しました。彼の調査は、ラミントン山の噴火メカニズムの解明や、将来の火山災害軽減に大きく貢献しました。

ラミントン山とプレー山：類似点

1902年に発生したプレー山の噴火は、ラミントン山の噴火と多くの類似点を持ちます。どちらも、それまで噴火記録がなく、死火山と考えられていた火山が突然大噴火を起こし、火砕流による甚大な被害をもたらしました。これらの事例は、一見静穏な火山であっても、潜在的な危険性を孕んでいることを示しています。

現在の状況と今後の課題

ラミントン山は1956年の噴火を最後に活動を休止していますが、過去の教訓を活かし、継続的な観測と研究が不可欠です。潜在的な危険性を理解し、適切な防災対策を講じることで、将来起こりうる災害リスクを軽減することが重要です。ラミントン山の事例は、火山災害の恐ろしさと、その予測、対策の難しさを改めて私たちに突きつけます。将来の災害軽減のためにも、過去の教訓をしっかりと受け止め、火山研究の重要性を再認識しなければなりません。

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