ラモチェ寺

ラモチェ寺は、中華人民共和国チベット自治区のラサに位置する寺院であり、「小昭寺」とも呼ばれています。646年頃、吐蕃のグンソングンツェン王の寡婦であった文成公主によって建立されました。

創建当初、この寺には唐からもたらされた貴重な釈迦牟尼像が安置されていました。この像は、グンソン・グンツェン王の冥福を祈るために寺に納められたとされています。しかし、ソンツェン・ガンポ王の崩御後、文成公主は釈迦牟尼像をトゥルナン寺へと移しました。釈迦牟尼像が移された後、代わりに不動金剛像が本尊として祀られるようになりました。

ラモチェ寺は、その長い歴史の中で、チベット仏教における重要な役割を果たしてきました。寺院は、数多くの僧侶や信者にとって精神的な拠り所であり、重要な宗教儀式や祭りの場となってきました。

しかし、近年では、ラモチェ寺は政治的な出来事とも深く関わるようになっています。2008年3月14日には、ラモチェ寺が大規模なデモの出発点となり、多くの市民が犠牲となり、また多くの僧侶が逮捕されるという悲劇が起こりました。この事件は、チベットにおける政治的な緊張の高まりを象徴するものとして、国際社会からも注目を集めました。

現在、ラモチェ寺は観光地としても開放されており、多くの観光客がその歴史と文化に触れるために訪れています。しかし、寺院の周辺では依然として厳しい警備体制が敷かれており、政治的な状況は予断を許さない状況が続いています。

参考文献：

山口瑞鳳『チベット』下（東洋叢書4, 東京大学出版会, 1988年3月）

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