ラサ

古都ラサの歴史と文化

ラサ（ལྷ་ས་, lha sa）は、チベットの古都であり、その歴史は7世紀にまで遡ります。吐蕃王朝の時代に建立され、ラサはその後も政治的、宗教的な中枢としての地位を保ち続けてきました。特に千年の時を経た今でも、ラサはチベット仏教文化圏の中心とされています。この地はチベット文化とモンゴル、満州といった異なる民族が交わるところでもあり、多様な文化的背景を持っています。

名称と意味

ラサという名称は、チベット語の「ラ(lha)」が「神」を、「サ(sa)」が「土地」を意味することに由来し、直訳すると「神の地」となります。また、「太陽のラサ（nyi ma lha sa）」とも呼ばれるこの地域は、晴天が多いことが特徴です。古代の文献にも「邏娑」や「邏些」のように記録されており、日本の古い資料には「ラッサ」という表記も存在します。

ラサの建設伝説

ラサの建設にまつわる伝説は、吐蕃王朝のソンツェン・ガンポによるものとされています。彼が中国から迎え入れた文成公主とネパールからのブリクティが、それぞれ土地に仏像を持ち込み、寺院を建てることを決定しました。これがラモチェ寺とトゥルナン寺の設立に繋がりました。また、「ラサ」には「ヤギの地」という意味もあり、トゥルナン寺の建設時に多くのヤギが使われ、その後石像が建てられたと言われています。

歴史的な役割

7世紀前半、ソンツェン・ガンポの治世の下、ラサはチベットの首都として定められました。641年に文成公主が王妃として迎えられ、ラサはますますその地位を固めていきます。しかし、9世紀の吐蕃王朝崩壊後は政治的な中心は移り変わりますが、ラサは宗教的な地位を維持しました。1414年にはラサの中心的な寺院であるガンデン寺が建立され、17世紀にはダライ・ラマ政権が発足し、ラサは再び政治的、文化的な中心地としての役割を果たしました。

ラサの構造と行政

古都ラサは、ナンコル、パルコル、リンコルという三重の環状巡礼路から成り立っています。ナンコルはトゥルナン寺の本尊を中心に巡る道、パルコルは寺の外周を囲む主要な通り、リンコルは古都ラサの外周を囲んでいます。これらの道は巡礼者にとって重要な場所であり、それぞれの道には独自の文化と歴史があります。

古都ラサの行政は、リンコルの内部を管轄していた「ミプン」という役職者によって運営されていました。また、特別な行事の際にはラサ三大寺の高僧がこの職を代行することもありました。これはラサの宗教的な側面と文化的な行事が連携していることを示しています。

現代のラサ

1960年に中国政府により、ラサ市が設置され、古都ラサ周辺やウー地方北部も含まれた市域が形成されました。以降、ラサは中国の地域の一部として、新たな開発が進みました。現在もラサは多くの観光客を引き付ける人気の地であり、その歴史や文化が学び、体験できる重要な場所であり続けています。古都ラサはただの観光地ではなく、深い文化と歴史を有する地域として多くの人々に思いを馳せられています。

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