ランザ

ランザとは

ランザ（runza）は、アメリカ合衆国ネブラスカ州で愛されている、パン生地で具材を包んで焼き上げた料理です。地域によっては、ビエロク（bierock）、クラウトバーガー（krautburger）、クラウトピロック（kraut pirok）とも呼ばれています。ランザの中身は、牛肉、キャベツまたはザワークラウト、玉ねぎをベースに、様々な調味料が加えられます。形状は、半月型、長方形、丸型、正方形、三角形など多岐にわたります。

ネブラスカ州では、ランザは地元を代表する味として、非常に人気があります。特に、ネブラスカ大学のフットボールチーム「コーンハスカーズ」の試合日には、多くのファンがランザを求めます。ネブラスカ州人会が主催するイベントでは、ランザが提供され、全米50州の象徴的な食品を集めたイベントでも、ネブラスカ州代表として選ばれるなど、その知名度は高いです。

ランザの歴史

ランザの起源は、ロシアの伝統的なオーブン料理であるピローク、特にその小型版であるピロシキに遡ります。18世紀、エカテリーナ2世の時代に、ドイツ系住民がロシアのヴォルガ川流域に入植しました。彼らはピロークやピロシキをベースに、ビエロクという独自の料理を生み出しました。ビエロクは、塩味の具材とイーストを使った生地が特徴です。

その後、ヴォルガ・ドイツ人の政治的特権が失われたことで、多くがアメリカに移住し、グレートプレーンズ地域にコミュニティを形成しました。その際、彼らはビエロクのレシピも持ち込みました。ネブラスカ州サットン近郊に入植したブレニング家もその一つです。サットンの出身であるサラ・エヴェレットは、家族に伝わるビエロクのレシピを元にランザを開発し、「ランザ」と名付けました。1949年、サラは兄弟のアレックスと共に、リンカーン市でランザを販売する店を開業しました。

ランザの名前の由来

サラ・エヴェレットがランザと名付けたことは明らかですが、この名前には、もともとこの料理が持っていた名前からの借用があったと考えられています。ドイツ語でビエロクの古い別名である「krautrunz」や、低地ドイツ語で「お腹」を意味する「runsa」が語源であるという説があります。現代では、レストランチェーン「ランザ」によって「ランザ」という名前が商標登録されています。

レストランチェーン「ランザ」

ランザは、この料理を看板メニューとするファストフード店の名前でもあります。1949年にサラ・エヴェレットが創業した店は、後に彼女の息子ドナルドSr.が事業を拡大し、1979年にフランチャイズ展開を開始しました。2018年11月時点で、86店舗を展開し、その大半がネブラスカ州にあります。現在もエヴェレット家が経営を続けており、サラの孫であるドナルドJr.が社長を務めています。ランザのメニューには、ランザサンドイッチの他に、チリコンカーン、シナモンロール、ハンバーガー、フライドポテトなどの定番メニューもあります。

1989年には、ネブラスカ州外への進出を試みましたが、ラトビアへの出店計画は、ソ連崩壊の影響で中止となりました。アメリカ国内では、ラスベガスとイリノイ州に出店しましたが、数年で閉店しています。

ランザのプロモーション

ランザは、ネブラスカ大学コーンハスカーズの試合が行われるメモリアル・スタジアムに出店しており、試合日には1万食以上を売り上げる人気ぶりです。2010年からは、冬季の火曜日に「テンペラチャー・チューズデイ」というプロモーションを実施しており、気温が低いほどランザがお得になるというユニークな企画が人気です。また、2017年には、オマハ・ストームチェイサーズ（野球チーム）が「オマハ・ランザズ」に改名し、ランザをPRするイベントも行われました。過去には、1950年代をテーマにした「ロックンロール・ランザ」という店舗も存在し、レトロな雰囲気とローラースケートでのカーホップが人気を集めました。

関連項目

フレッシュクィークル―: クリミア・タタール料理のチェブレキが移民によって米国に持ち込まれたもの。
アメリカ合衆国の郷土料理の一覧
サンドイッチの一覧
詰め物料理の一覧

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