ランス・パリッシュ

ランス・マイケル・パリッシュ：強肩強打で時代を築いた名捕手

ランス・マイケル・パリッシュ（Lance Michael Parrish, 1956年6月15日 - ）は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州チャールトン出身の元プロ野球選手。右投右打の捕手として、1970年代後半から1990年代にかけてメジャーリーグで活躍しました。その強肩強打から「ビッグ・ホイール(Big Wheel)」の愛称で親しまれました。

デトロイト・タイガースでの活躍

1977年9月5日にデトロイト・タイガースでメジャーデビューを果たしたパリッシュは、1978年には早くも14本塁打を放ち、その長打力をアピールします。1979年には正捕手の座を掴み、143試合に出場して打率.276、19本塁打、65打点を記録。タイガースの主力打者として存在感を示しました。

1980年には24本塁打、82打点で初のオールスター出場を果たし、シルバースラッガー賞も受賞。その後も1982年から1986年まで毎年オールスターに選出され、1983年から1985年には3年連続でゴールドグラブ賞を受賞するなど、攻守にわたる活躍でチームを牽引しました。

1984年には、チームはワールドシリーズを制覇。この年も打率こそ高くなかったものの、自己最多となる33本塁打、98打点を記録し、ワールドチャンピオンに大きく貢献しました。

移籍と晩年

1986年オフにフリーエージェント（FA）でフィラデルフィア・フィリーズに移籍しますが、以降は故障の影響もあり、出場機会が減少。1988年にはオールスターに出場したものの、打率は.215と低迷し、1989年にはカリフォルニア・エンゼルスへ移籍します。

1990年には24本塁打を記録しますが、フィリーズ移籍後、打率が.250を超え、かつ20本塁打以上を記録したのはこの年のみでした。その後、シアトル・マリナーズ、ロサンゼルス・ドジャース、クリーブランド・インディアンス、ピッツバーグ・パイレーツ、トロント・ブルージェイズとチームを渡り歩き、1995年に現役を引退しました。

引退後

現役引退後は、カンザスシティ・ロイヤルズの捕手インストラクターや、ロサンゼルス・ドジャースのマイナー（AA級）コーチなどを歴任。デトロイト・タイガースでは、三塁ベースコーチやブルペンコーチを務めました。一時解説者を務めた後、2003年にはかつてのチームメイトであるアラン・トランメル監督の下、タイガースにコーチとして復帰。2006年からは、ドジャースのマイナーチームの監督を務めています。

プレースタイルと人物

ランス・パリッシュは、強肩強打が持ち味の捕手として知られていました。捕手としての通算299本塁打はMLB史上6位（2015年終了時点）、通算3,113塁打も捕手に限れば歴代10位、打点1,070も捕手に限れば歴代11位という記録が、彼の打撃力を物語っています。一方で、通算1,527三振はMLB歴代38位という記録も残しています。

また、強肩である一方、パスボールが多いことでも有名でした。現役生活19年間で喫したパスボールは192個で、MLB歴代1位という不名誉な記録も保持しています。しかし、その強肩はゴールドグラブ賞を受賞するほどであり、捕手としての能力は高く評価されていました。

長男のデーブは捕手として、次男のマットは外野手、投手として、それぞれマイナーリーグでプレーしましたが、惜しくもメジャーデビューは果たせませんでした。

ランス・パリッシュは、強打と強肩で一時代を築いた名捕手として、野球ファンの記憶に深く刻まれています。

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