ランズダウン・ロード
ランズダウン・ロードは、アイルランドの首都ダブリンにかつて存在した、象徴的なスポーツスタジアムです。アイルランド・ラグビー協会が所有し、その名の通り多岐にわたるイベントに利用されていました。
立地と特徴
スタジアムはダブリン中心部を流れるリフィー川から南へ約3キロメートル、閑静な住宅街として知られるダブリン4区ボールスブリッジ地区に位置していました。周辺には、赤レンガ造りの美しいビクトリア朝時代の住宅が立ち並び、スタジアムとその調和が特徴的な景観を生み出していました。交通の便も良く、スタジアムのすぐ隣には同名の鉄道駅が設置されていました。特にユニークだったのは、スタジアムの西側スタンドの真下を鉄道線路が通る設計です。スタジアム名は、正面に面する道路に由来し、この道路名自体は英国のランズダウン侯爵にちなんで名付けられたものです。
多目的な使用状況
ランズダウン・ロードは、主にラグビーとサッカーのスタジアムとして機能しました。長年にわたり、ラグビーのアイルランド代表チームにとっては紛れもないホームグラウンドであり、歴史的な数々の試合が行われました。サッカーにおいても、アイルランド代表チームが1971年頃から頻繁に利用を開始し、1993年3月以降は改修工事が始まるまで、全てのホーム国際試合がこの地で開催されました。また、アイルランドサッカー協会杯（FAIカップ）の決勝戦会場となることもありました。ラグビーのプロチームであるレンスターも、本拠地ドニブルック・グラウンドの収容能力を超える観客が見込まれる際には、ランズダウン・ロードを使用していました。欧州クラブチームの最高峰を決めるハイネケンカップの決勝戦も、1999年と2003年の2度、この地で行われています。
改修前のスタジアムの最大収容人数は49,250人でしたが、これはゴール裏などに設けられた立見席を含んだ数字でした。FIFAやUEFAといった国際的な統括団体の規定により、公式な国際試合では安全上の観点から立見席の使用が認められず、これらの試合における収容人数は約36,900人に制限されていました。ただし、親善試合などでは立見席も使用されるケースがありました。
また、ランズダウン・ロードはスポーツイベントだけでなく、大規模なコンサート会場としても人気を博しました。ニール・ダイアモンド、U2、R.E.M.、イーグルス、オアシス、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ザ・コアーズなど、世界的に有名な数多くのアーティストたちがここでパフォーマンスを披露し、アイルランドの文化シーンにおいても重要な役割を果たしました。
歴史の終焉と新しいスタジアムへ
1872年に開場して以来、1世紀以上にわたりアイルランドのスポーツと文化の中心地の一つであり続けたランズダウン・ロードですが、施設の老朽化などから近代的なスタジアムへの改築が決定され、2007年にその歴史にいったん幕を下ろしました。
閉鎖前の最後の公式戦はいくつか記録されています。ラグビーのアイルランド代表による最後の国際試合は、2006年11月26日のパシフィック・アイランダーズ戦で、アイルランドが61対17で勝利。サッカーのアイルランド代表による最後の国際試合は、2006年11月15日のサンマリノ代表戦で、アイルランド共和国が5対0と圧勝しました。サッカー関連の最後の公式戦としては、2006年12月3日のアイルランドサッカー協会杯決勝があり、デリーシティーFCがセントパトリックアスレティックスを破っています。そして、ランズダウン・ロードの歴史に終止符を打った最後の試合は、ラグビーのケルティックリーグ（現プロ14）におけるレンスター対アルスター戦でした。このリーグ戦としては異例の48,000人もの観衆が集まり、レンスターが20対12で勝利を収め、歴史あるスタジアムの最後の瞬間を見届けました。
ランズダウン・ロードの改築期間中、ラグビーおよびサッカーのアイルランド代表による国際試合などの主要イベントは、同じくダブリン市内にある国内最大のスタジアム、クローク・パークで開催されました。クローク・パークは、アイルランド伝統のスポーツを統括するゲーリック体育協会（GAA）が所有しています。GAAは長らく、ラグビーやサッカーといった彼らが「外国のスポーツ」と見なしていた競技に、自らのスタジアムを使用させることを禁じていましたが、2006年に方針を転換し、規制緩和を決定しました。これにより、2007年にはラグビーの『シックス・ネイションズ』公式戦や、サッカーのUEFA EURO 2008予選などが、初めてクローク・パークで開催される運びとなりました。
全面的な改築を経た新しいスタジアムは、座席数50,000席を備える最新鋭の施設として2010年に再開場しました。この大規模なプロジェクトには、総額約3億6500万ユーロ（当時の日本円で約550億円）が投じられ、アイルランド政府、アイルランドラグビー協会、アイルランドサッカー協会が共同で資金を負担しました。スタジアムの設計・施工は、HOK SVE社、Buro Happold社、ME Engineers社といった専門企業が担当しています。
ランズダウン・ロードは、その長い歴史の中でアイルランドのスポーツシーン、特にラグビーとサッカーにおいて中心的な役割を果たし、多くの感動的な瞬間や伝説を生み出しました。単なる競技場にとどまらず、文化的なイベントの場としても親しまれ、アイルランドの人々にとって特別な場所であり続けたのです。
立地と特徴
スタジアムはダブリン中心部を流れるリフィー川から南へ約3キロメートル、閑静な住宅街として知られるダブリン4区ボールスブリッジ地区に位置していました。周辺には、赤レンガ造りの美しいビクトリア朝時代の住宅が立ち並び、スタジアムとその調和が特徴的な景観を生み出していました。交通の便も良く、スタジアムのすぐ隣には同名の鉄道駅が設置されていました。特にユニークだったのは、スタジアムの西側スタンドの真下を鉄道線路が通る設計です。スタジアム名は、正面に面する道路に由来し、この道路名自体は英国のランズダウン侯爵にちなんで名付けられたものです。
多目的な使用状況
ランズダウン・ロードは、主にラグビーとサッカーのスタジアムとして機能しました。長年にわたり、ラグビーのアイルランド代表チームにとっては紛れもないホームグラウンドであり、歴史的な数々の試合が行われました。サッカーにおいても、アイルランド代表チームが1971年頃から頻繁に利用を開始し、1993年3月以降は改修工事が始まるまで、全てのホーム国際試合がこの地で開催されました。また、アイルランドサッカー協会杯（FAIカップ）の決勝戦会場となることもありました。ラグビーのプロチームであるレンスターも、本拠地ドニブルック・グラウンドの収容能力を超える観客が見込まれる際には、ランズダウン・ロードを使用していました。欧州クラブチームの最高峰を決めるハイネケンカップの決勝戦も、1999年と2003年の2度、この地で行われています。
改修前のスタジアムの最大収容人数は49,250人でしたが、これはゴール裏などに設けられた立見席を含んだ数字でした。FIFAやUEFAといった国際的な統括団体の規定により、公式な国際試合では安全上の観点から立見席の使用が認められず、これらの試合における収容人数は約36,900人に制限されていました。ただし、親善試合などでは立見席も使用されるケースがありました。
また、ランズダウン・ロードはスポーツイベントだけでなく、大規模なコンサート会場としても人気を博しました。ニール・ダイアモンド、U2、R.E.M.、イーグルス、オアシス、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ザ・コアーズなど、世界的に有名な数多くのアーティストたちがここでパフォーマンスを披露し、アイルランドの文化シーンにおいても重要な役割を果たしました。
歴史の終焉と新しいスタジアムへ
1872年に開場して以来、1世紀以上にわたりアイルランドのスポーツと文化の中心地の一つであり続けたランズダウン・ロードですが、施設の老朽化などから近代的なスタジアムへの改築が決定され、2007年にその歴史にいったん幕を下ろしました。
閉鎖前の最後の公式戦はいくつか記録されています。ラグビーのアイルランド代表による最後の国際試合は、2006年11月26日のパシフィック・アイランダーズ戦で、アイルランドが61対17で勝利。サッカーのアイルランド代表による最後の国際試合は、2006年11月15日のサンマリノ代表戦で、アイルランド共和国が5対0と圧勝しました。サッカー関連の最後の公式戦としては、2006年12月3日のアイルランドサッカー協会杯決勝があり、デリーシティーFCがセントパトリックアスレティックスを破っています。そして、ランズダウン・ロードの歴史に終止符を打った最後の試合は、ラグビーのケルティックリーグ（現プロ14）におけるレンスター対アルスター戦でした。このリーグ戦としては異例の48,000人もの観衆が集まり、レンスターが20対12で勝利を収め、歴史あるスタジアムの最後の瞬間を見届けました。
ランズダウン・ロードの改築期間中、ラグビーおよびサッカーのアイルランド代表による国際試合などの主要イベントは、同じくダブリン市内にある国内最大のスタジアム、クローク・パークで開催されました。クローク・パークは、アイルランド伝統のスポーツを統括するゲーリック体育協会（GAA）が所有しています。GAAは長らく、ラグビーやサッカーといった彼らが「外国のスポーツ」と見なしていた競技に、自らのスタジアムを使用させることを禁じていましたが、2006年に方針を転換し、規制緩和を決定しました。これにより、2007年にはラグビーの『シックス・ネイションズ』公式戦や、サッカーのUEFA EURO 2008予選などが、初めてクローク・パークで開催される運びとなりました。
全面的な改築を経た新しいスタジアムは、座席数50,000席を備える最新鋭の施設として2010年に再開場しました。この大規模なプロジェクトには、総額約3億6500万ユーロ（当時の日本円で約550億円）が投じられ、アイルランド政府、アイルランドラグビー協会、アイルランドサッカー協会が共同で資金を負担しました。スタジアムの設計・施工は、HOK SVE社、Buro Happold社、ME Engineers社といった専門企業が担当しています。
ランズダウン・ロードは、その長い歴史の中でアイルランドのスポーツシーン、特にラグビーとサッカーにおいて中心的な役割を果たし、多くの感動的な瞬間や伝説を生み出しました。単なる競技場にとどまらず、文化的なイベントの場としても親しまれ、アイルランドの人々にとって特別な場所であり続けたのです。
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