ランチア・フラヴィア

フラヴィア (FLAVIA)

フラヴィア（FLAVIA）は、イタリアの自動車メーカー、ランチアが製造・販売した中級車のことです。この車は、大衆車アッピアと高級車フラミニアの間のギャップを埋めるために企画され、そのデザインと技術は当時の技術革新を反映したものとなっています。

設計の背景

フラヴィアの主任設計者はアントニオ・フェッシアで、彼は戦前にフィアットの初代フィアット・500の開発に携わった経歴を持っています。この自動車は、アルミニウム合金製の水平対向4気筒エンジンを搭載し、ダンロップ製の4輪ディスクブレーキを備えた前輪駆動方式を採用するなど、当時としては非常に先進的な設計が施されています。

初代フラヴィア（1961年 - 1971年）

初代フラヴィアは1961年に「ベルリーナ」として1,500ccの4ドアセダンが登場しました。1961年秋のトリノショーでは、ピニンファリーナ製の2ドアクーペが追加され、次いでヴィニヤーレ製の2ドアコンバーチブルや「スポルト・ザガート」と呼ばれるデザイン性の高いモデルも登場しました。スポルト・ザガートはツインキャブレター型のエンジンを搭載し、出力は100馬力に向上しましたが、そのエンジンはデリケートな調整が必要とされていました。

その後、購入者からの要望に応じてエンジン出力を強化し、1,800ccの機械式燃料噴射モデルや5段MTモデルが追加されました。しかし、1969年にランチアがフィアット傘下に入ると、ヴィニアーレ及びザガートのモデルは生産中止され、フェイスリフトされたベルリーナとクーペのみが生き残り、これに2,000ccエンジンが搭載されました。1971年にはフラヴィアは「2000」と改名されました。

日本への輸入

フラヴィアは1965年以降、日本の輸入代理店である国際自動車商事を通じて限定的に輸入されました。カーデザイン専門誌の1972年10月号によると、スポルト・ザガートが3台輸入され、そのうち1台は日本で売れ残り、本国に戻ったとのことです。また、ヴィニアーレ製のコンバーチブルも1台輸入されたとされています。

最も多く輸入されたのは、ピニンファリーナ製のクーペであり、ベルリーナも少なくとも2台が日本に入っていました。1970年代後半には、自動車評論家の三重宗久が所有していた他、40年近くにわたって女性の1オーナーによって維持されていた良好なコンディションの1台も存在しました。

ただし、1970年をもって国際自動車商事はランチアの輸入を終了し、そのため後期モデルの「ランチア2000」は日本に輸入されることはありませんでした。製造当時のフラヴィアは高い品質を誇りますが、その時期のスペアパーツの入手が困難であり、日本での維持は容易ではありませんでした。現在見かけることのあるフラヴィアのほとんどは、近年になって国外から輸入されたものです。

2代目フラヴィア（2011年 - 2014年）

2011年に36年ぶりに復活したフラヴィアは、クライスラーからOEM供給を受け、クライスラー・200を基にしたモデルとなりました。この新しいフラヴィアは、セダンとコンバーチブルの二つのバリエーションが用意され、基本メカニズムはクライスラー・200と共通しています。外装や内装のデザインもほぼ同様であり、エンブレムをランチアのものに変更したのみの違いです。

フラヴィアというブランドは、生成されたモデルの性格と伝統を受け継ぎながらも、時代を反映した新しいアプローチが求められていることが伺えます。

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