ランディーズ・レーンの戦い

ランディーズ・レーンの戦い

ランディーズ・レーンの戦いは、1814年7月25日に米英戦争中に現在のオンタリオ州ナイアガラフォールズで戦われた戦闘です。この戦いは、カナダの地で行われた戦闘の中でも特に激戦として知られています。

カナダの愛国歌「楓の葉よ、永遠に！」の一節には、この戦いで勇敢に戦い、命を落とした先人たちの姿が歌われています。

背景

1814年7月、アメリカ軍はエリー湖からナイアガラ川を渡り、カナダへの侵攻を開始しました。ジャコブ・ブラウン将軍率いるアメリカ軍は、エリー砦を占領後、北へ進軍しました。チッパワの戦いでは、アメリカ軍がイギリス軍に勝利しましたが、その後イギリス軍はジョージ砦まで後退しました。アメリカ軍は、この砦を攻撃するだけの十分な兵力や大砲を持っていませんでした。また、アメリカ海軍もオンタリオ湖を制海できていなかったため、援軍も届かない状況でした。一方、イギリス軍は増援部隊を送り込むことができました。アメリカ軍はクィーンストンを占領していましたが、イギリス軍やカナダ民兵からの妨害を受けていました。

7月24日、アメリカ軍はチッパワ川まで後退し、補給線の確保を図りました。イギリス軍はアメリカ軍の後退に呼応してランディーズ・レーンまで進出しました。

戦闘の経過

7月25日、アッパー・[[カナダ]]副総督のゴードン・ドラモンド中将がジョージ砦に到着し、ナイアガラ半島の指揮を執り始めました。ドラモンドはイギリス軍を南下させ、アメリカ軍が西岸から撤退することを期待しました。しかし、アメリカ軍は逆に北へ進軍し、イギリス軍をジョージ砦に引き戻そうとしました。アメリカ軍は、イギリス軍がランディーズ・レーンを確保していることを知らなかったのです。

イギリス軍は、ランディーズ・レーンの高地に大砲を配置し、待ち構えていました。ウィンフィールド・スコット准将率いるアメリカ軍の旅団は、午後遅くに森の中から開けた場所に出てきたところをイギリス軍の大砲の攻撃を受けました。スコットは第25歩兵連隊をイギリス軍の側面を衝くように進ませましたが、イギリス軍は陣形を立て直し、激しい戦闘となりました。この時、イギリス軍のリアル将軍が負傷して捕虜になりました。

夜になり、アメリカ軍の主力部隊が到着し、戦況はさらに激化しました。ブラウンはジェイムズ・ミラー中佐にイギリス軍の大砲を奪取するよう命じました。ミラーは「やってみます、サー」と答え、この言葉が第21歩兵連隊のモットーとなりました。ミラー隊は勇敢にもイギリス軍の大砲を奪取し、中央部隊を丘から駆逐しました。

しかし、イギリス軍も負けてはいませんでした。ドラモンドは負傷しながらも部隊を再編し、大砲の奪還を試みました。両軍は夜半まで激しい戦闘を繰り広げました。互いに多数の死傷者を出し、戦場は混乱を極めました。

夜半までに、両軍とも疲労困憊となり、戦闘は一時的に収束しました。イギリス軍の損失は878名、アメリカ軍は860名でした。アメリカ軍の将軍であるスコットとブラウンも負傷しました。アメリカ軍は物資不足のため、撤退を余儀なくされました。

戦闘後

翌朝、アメリカ軍は放棄したイギリス軍の大砲を回収しようとしましたが、イギリス軍が既に戦場を再占領していました。アメリカ軍はチッパワ川沿いの防塞を破壊し、橋を焼いてエリー砦まで後退しました。イギリス軍もクィーンストンまで撤退しました。

戦いの評価

ランディーズ・レーンの戦いは、アメリカ軍が正規軍としての能力を高めたことを示す戦いとなりました。特にスコット准将の軍隊訓練が評価されています。しかし、この戦いの結果については、様々な見解があります。イギリス軍が戦場を確保したため、アメリカ軍が撤退したと見る歴史家もいれば、イギリス軍も夜間に撤退し、アメリカ軍が物資不足になったために翌朝イギリス軍が戦場を回復したと見る歴史家もいます。

カナダの歴史家であるドナルド・E・グレイブスは、ドラモンドが防柵を設けなかったために大砲を奪われ、奪還にも失敗したと分析しています。また、戦略的には、イギリス軍はアメリカ軍をジョージ砦から遠ざけ、大きな損害を与えて侵攻を防いだという点で勝利と言えるかもしれません。一方、アメリカ軍は丘の上を占領し、イギリス軍の奪還を阻止した点で戦術的な勝利を挙げたとも言えます。しかし、アメリカ軍のカナダ侵攻は失敗に終わりました。

戦場と記念碑

戦場跡は現在、オンタリオ州ナイアガラフォールズの住宅および商業地区となっています。一部がドラモンド･ヒル墓地に隣接して保存されており、兵士の記念碑、記念の壁、ローラ・セコール記念碑があります。また、ランディーズ・レーンは、カナダの愛国歌「楓の葉よ、永遠に！」の中で歌われています。

参加部隊

参考文献

関連項目

米英戦争
米英戦争のカナダ戦線

参考文献

Graves, Donald E. "Where Right and Glory Lead! The Battle of Lundy's Lane 1814" Toronto: Robin Brass Studio Inc. 1997.
Elting, John R. "Amateurs to Arms! A military history of the War of 1812", New York: Da Capo Press, 1995 ISBN 0-306-80653-3

外部リンク

Friends of the Lundy's Lane Battlefield
History of the Incorporated Militia Battalion of Upper Canada
Images from the Historic Niagara Digital Collections at Niagara Falls Public Library
Art works in the collection of the Niagara Falls Public Library

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