ラン・ランナウェイ

スレイド「ラン・ランナウェイ」徹底解説

「ラン・ランナウェイ」（Run Runaway）は、イギリスのロックバンド、スレイドの楽曲で、1983年のアルバム『神風シンドローム』に収録されました。翌年にはリパッケージ盤『Keep Your Hands Off My Power Supply』からシングルカットされ、バンドにとって重要なターニングポイントとなりました。

誕生の背景

1982年、アルバム制作中だったスレイドに対し、RCAレコードはチャートインの可能性を危惧し、ジョン・パンターをプロデューサーに起用することを提案しました。これを受けて、ノディ・ホルダーとジム・リーは「ラン・ランナウェイ」と「マイ・オー・マイ」を作詞・作曲し、デモ音源を制作。レーベルに受け入れられたこの2曲は、パンターのプロデュースによってレコーディングされることになりました。

レコーディングはRAKスタジオで行われ、「マイ・オー・マイ」も同じセッションで録音されました。1983年にはクワイエット・ライオットの「カモン!!」のカバーが全英1位を獲得し、スレイドもアメリカのレコード会社CBSアソシエイテッドとの契約を締結。リパッケージ盤からの先行シングルとして「ラン・ランナウェイ」が1984年3月にリリースされました。MTVでのミュージック・ビデオのオンエアも後押しとなり、Billboard Hot 100で20位を獲得、アメリカでのバンドの最高位を記録しました。

ホルダーは本作を「ロックなスコットランドのジグ」と表現しており、その独特な音楽性が評価されています。

リリース形態

「ラン・ランナウェイ」のシングル盤は、7インチと12インチの2形態でリリースされ、地域によって収録曲が異なりました。イギリス、アイルランド、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、日本ではRCAレコードから発売され、B面には「ツー・トラック・ステレオ、ワン・トラック・マインド」が収録。アメリカとカナダではCBSから発売され、「ドント・テイム・ア・ハリケーン」がB面に収録されました。また、イギリスとドイツで発売された12インチシングルには、「ラン・ランナウェイ」の拡張バージョンが収録されています。

専門家からの評価

音楽メディアからの評価も高く、『レコード・ミラー』誌のロビン・スミスは『神風シンドローム』のレビューで本作をアルバムのお気に入りトラックとして挙げ、「威厳のあるパルス」と評しました。『サウンズ』誌のジェリー・ハリスは「1984年のビッグ・カントリーの雰囲気を生意気に意気揚々と示している」と評し、『オールミュージック』のデイヴ・トンプソンは「騒々しい詠唱、渦巻くギター、荒々しいヴァイオリン、そしてヘヴィメタルなバグパイプのテイストさえも、純然たる1980年代初頭のドラムサウンドによって支えられた」と評しました。

チャート成績

全英シングルチャート：最高7位
Billboard Hot 100：最高20位

カバー・バージョン

「ラン・ランナウェイ」は数多くのアーティストによってカバーされており、その多様な解釈が楽曲の魅力をさらに引き出しています。

ダスティ・カウシット（1995年、アルバム『Coventry & Westham』収録）
グレイト・ビッグ・シー（1996年、アルバム『Up』収録）
* プリデイン（2007年、アルバム『Loud Pipes (Save Lives)』収録）

スレイドの「ラン・ランナウェイ」は、そのエネルギッシュなサウンドとキャッチーなメロディで、時代を超えて愛される名曲として輝き続けています。

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