ラ・コルメナ

ラ・コルメナ：パラグアイに根付く日本人移民の足跡

ラ・コルメナ（La Colmena）は、パラグアイ中部のパラグアリ県に位置する、日本人移民によって開かれた入植地です。その歴史は、1912年に遡り、国交樹立前の時代から日本人がパラグアイの地で生活を始めていました。2018年時点での人口は約7,000人です。

移民の背景

国交樹立前

1912年、佐幸田兼蔵がパラグアイに渡り、プエルト・カサードのタンニン工場に勤務したのが、記録に残る最初の日本人移民です。1916年には、福岡庄太郎がアスンシオンで接骨・マッサージ業と花屋を始めました。

国交樹立後から第二次世界大戦まで

1919年、日本とパラグアイは貿易協定を締結し、国交が樹立されました。当初、日本人移民の主要な渡航先はブラジルでしたが、1934年にブラジル政府が日本人移民を制限する法律を制定したため、日本の土地会社はパラグアイへの移住地の可能性を探り始めます。

当初、アスンシオン南東部の3か所が候補地として検討されましたが、1936年にパラグアイで革命が勃発。親日的なエウセビオ・アジャラ大統領が失脚し、調査は一時中断されます。しかし、その後のフランコ政権下で、日本人移民受け入れの大統領令が発布され、試験的に100家族のみ入植が許可されることになりました。

最終的に、パラグアリ県イビチミ郡イリアルテ地方のパルミーラ耕地、通称「ラ・コルメナ」（蜂の巣箱）が移住地に決定しました。1936年6月以降、ブラジルからの農業指導者を含む移民団が順次入植し、日本からも同年8月から1941年9月まで、28回にわたり移民が送られました。神戸の教養所で短い訓練を受けた後、約2か月の船旅を経てアスンシオンに到着、そこから鉄道と牛車を乗り継ぎ、ラ・コルメナへと入植しました。

第二次世界大戦以降

1954年から1989年までパラグアイの大統領を務めたアルフレド・ストロエスネルは、ラ・コルメナを頻繁に訪問し、日系社会との交流を深めました。運動会への参加、移住記念式典への出席、学校の開校式への出席など、その訪問は多岐にわたりました。ストロエスネル大統領は、ラ・コルメナを「Capital de La Fruta（フルーツの都）」と名付け、日系社会に様々な政治的便宜を図ったと推測されています。

ラ・コルメナは、パラグアイにおける日本人移民の歴史を象徴する場所であり、現在も多くの日系人が農業を中心に生活を営んでいます。彼らは、パラグアイの社会に深く根を下ろし、独自の文化を育みながら、その歴史を未来へと繋いでいます。

関連項目

日系パラグアイ人
日本とパラグアイの関係

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