アルフレド・ストロエスネル

アルフレド・ストロエスネル：パラグアイの独裁者

アルフレド・ストロエスネル・マティアウダ（1912年11月3日 - 2006年8月16日）は、パラグアイの軍人であり、政治家でした。1954年から1989年までの35年間、パラグアイの大統領として権力を握り、独裁者として知られています。彼の政権は「エル・ストロニスモ」と呼ばれ、反共主義、権威主義、民族主義、軍国主義を特徴としていました。

生涯

ストロエスネルは、1912年にパラグアイ南部のエンカルナシオンで、ドイツ系移民の父とパラグアイ人の母の間に生まれました。17歳で陸軍に入り、チャコ戦争に従軍。1948年には准将となり、南米諸国で最年少の将官となりました。1951年に陸軍総司令官に就任し、1954年のクーデターで国防相となり、実権を掌握しました。

大統領時代

1954年7月、ストロエスネルは大統領に選出され、パラグアイ共産党を非合法化し、言論の自由を制限するなど、独裁体制を確立しました。冷戦下において、彼は徹底的な反共主義者であり、アメリカをはじめとする西側諸国の支援を受けました。また、近隣諸国の軍事政権との関係も良好であり、長期政権を維持することができました。

ストロエスネル政権は、経済発展にも力を入れました。ブラジルの軍事政権との関係を強化し、イタイプ・ダムの建設により、1973年から1982年まで年間8%という高い経済成長率を達成しました。しかし、借款による対外債務の増大や、イタイプ・ダムに依存したモノカルチャー経済、官僚の腐敗などが深刻化し、1983年以降は経済成長が鈍化しました。

ストロエスネルは、反共主義を掲げる一方で、第二次世界大戦時のドイツの戦犯容疑者の亡命を黙認し、人権侵害を行ったとして国際的な批判を浴びました。しかし、アメリカやドイツ、日本からの借款を受けて国内の近代化を推し進め、インフラストラクチャーを整備しました。

退任と死

周辺諸国の民主化が進み、冷戦が終結に向かう中、1989年にストロエスネルはクーデターによって政権を追われ、ブラジルへ亡命しました。2006年8月16日、ブラジリアの病院で合併症により死去。93歳でした。

功績と評価

ストロエスネルの時代は、パラグアイにとって安定した時代であったという評価もあります。治安が良く、経済が発展したという意見もありますが、一方で、言論弾圧や人権侵害を行った独裁者であったという批判も根強くあります。特に政権末期には腐敗が横行し、国民の支持を失いました。

日本との関係

ストロエスネル政権下において、パラグアイは日本との関係を強化しました。1959年に日本・パラグアイ移住協定を締結し、多くの日本人移民を受け入れました。ストロエスネル自身も日本に強い関心を持ち、1972年には国賓として日本を訪問しています。パラグアイの日系社会に対しては非常に友好的であり、日本人移民の入植地であるラ・コルメナを頻繁に訪問しました。また、日本からの技術援助も積極的に受け入れ、外国援助の75%が日本からでした。

ストロエスネルの死後、パラグアイでは彼の功績と罪を巡る評価が分かれています。しかし、彼の長期独裁政権がパラグアイの歴史に大きな影響を与えたことは否定できません。

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