ラ・メール新人賞

ラ・メール新人賞（ラメールしんじんしょう）は、かつて存在した日本の文学賞の一つです。この賞は、詩人である新川和江氏と吉原幸子氏が主催していた季刊詩誌『現代詩ラ・メール』によって設立されました。同誌は思潮社および書肆水族館から刊行されていました。

この新人賞は、年間を通じて『現代詩ラ・メール』誌の投稿欄に寄せられた女性の詩作品を対象としていました。選考は年に一度、春に行われ、応募作品の中から最も優れた新人の作品が選ばれました。選考委員は、雑誌の主催者である新川氏と吉原氏が務めました。

ラ・メール新人賞の歴史は、1984年に始まりました。そして、雑誌『現代詩ラ・メール』が終刊を迎えた1993年をもって、その役目を終えました。この間に計10回の選考が行われ、短期間ながらも特定の時代における女性詩の新たな担い手を発掘する重要な役割を果たしました。

以下に、第1回から第10回までの歴代受賞者と、それぞれの代表的な受賞作品を記します。

• - 第1回（1984年）：鈴木ユリイカ - 代表作品「生きている貝」
• - 第2回（1985年）：中本道代 - 代表作品「悪い時刻」「卵割り」
• - 第3回（1986年）：笠間由紀子 - 代表作品「二月」「海」「時」
• - 第4回（1987年）：國峰照子 - 代表作品「浮遊家族」「せっかちな星からの報告」
• - 第5回（1988年）：柴田千晶（柴田千秋） - 代表作品「博物館」「水族館」
• - 第6回（1989年）：小池昌代 - 代表作品「浮力」「その場所まで」
• - 第7回（1990年）：岬多可子 - 代表作品「ここから」「風に耳を」「春の祭り」「ゆらぐとき」
• - 第8回（1991年）：千葉香織 - 代表作品「鳥i」「鳥ii」「希い」
• - 第9回（1992年）：高塚かず子 - 代表作品「水」「せっけん箱」「岬」「炎」
• - 第10回（1993年）：宮尾節子 - 代表作品「私を渡る」「美しい鍵」「冬の火」

この賞は、雑誌の終刊とともに惜しまれつつ姿を消しましたが、ここから巣立った詩人たちは、その後も日本の現代詩壇で活躍を続けています。ラ・メール新人賞は、特定の時期における女性詩の動向を知る上で、また新進女性詩人の登竜門として、記憶されるべき賞と言えるでしょう。

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