ラ・ヴィアンローズ (吉川晃司の曲)

「ラ・ヴィアンローズ」の魅力

「ラ・ヴィアンローズ」（LA VIE EN ROSE）は、日本のシンガーソングライターである吉川晃司が1984年に発表した楽曲です。この作品は、彼の3枚目のシングルとしてリリースされ、音楽シーンにおける重要なマイルストーンとなりました。

リリースの背景

「ラ・ヴィアンローズ」は、1984年9月10日にSMSレコードからリリースされました。この楽曲は、前作「サヨナラは八月のララバイ」と約3か月ぶりのシングルであり、同年に発売されたアルバム『LA VIE EN ROSE』の先行シングルとして位置付けられています。作詞を手掛けたのは売野雅勇、作曲は大沢誉志幸、そして編曲を大村雅朗が担当しました。

音楽的特徴と制作

大沢誉志幸は、この楽曲のデモテープを1981年に制作し、当初は歌謡曲に近いギターサウンドでした。しかし、吉川がテクノポップに強い興味を持っていたことから、最終的にはキーボードを主体としたアレンジに変更されました。この変更により、ドラムとベースは打ち込みのスタイルが採られ、楽曲に新たな息吹が吹き込まれました。

吉川は、ソウルフルな歌唱で音楽性のバランスを追求し、洋楽的なメロディーに対して日本語詞を自然に乗せる難しさを感じつつも、売野の手により見事な結果に仕上がりました。大沢も、歌詞の完成に感激したとされています。

リリースとチャート成績

「ラ・ヴィアンローズ」は、リリース直後から大きな反響を呼び起こしました。オリコンシングルチャートでは最高位第4位を獲得し、20週間にわたってチャートにランクインしました。発売初週の9月27日には音楽番組『ザ・ベストテン』で第6位に初登場し、その後4位に達しました。さらに、11月まで6週連続でチャートインするなどの記録を達成しました。

シングルのジャケットはビーチとパラソルの可愛らしいビジュアルで、撮影はサイパン島で行われました。しかし、このデザインには吉川自身の葛藤もありました。製作中に彼の事務所社長が参考にした映画『太陽がいっぱい』の影響を感じ、「同じテーマでは面白くない」と感じたと語っています。また、このシングル」は吉川にとって初めてのミュージックビデオも制作されました。

カバーとその後の展開

大沢はこの曲に非常に思い入れがあり、セルフカバーも行っています。彼は自身のライブやラジオ番組でこの楽曲が好きだということをしばしば語っており、コマーシャルでも使用されるなど、広く親しまれています。大沢のカバーとしては、1994年の『Collage』、2008年の『Season's greetings〜春〜』が挙げられ、他にも香港のレスリー・チャンによるカバーなども存在します。

まとめ

「ラ・ヴィアンローズ」は、吉川晃司の音楽キャリアを代表する名曲であり、テクノポップの要素を取り入れた新しいスタイルの先駆けとなりました。そのメロディーの美しさと歌詞の深さは、今でも多くのファンに愛され続けています。音楽の枠を越えて影響を与えるこの楽曲は、1980年代の日本の音楽シーンを象徴する重要な作品といえるでしょう。

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