ラーゲリ

ラーゲリについて

ラーゲリは、ソビエト連邦において強制収容所を意味する言葉で、本来は「キャンプ」を指すロシア語に由来します。この施設は、政権に反抗した者や重罪を犯した者、さらには敵国の捕虜を収容するために設けられました。中でも、特に厳しい環境下での生活が強いられ、それに伴い恐怖や猜疑心が蔓延していました。収容された囚人たちは、無償で労働を強いられることが常で、一部では家族単位での収容も行われていました。そのため、乳幼児が一緒に収容されることも多く見られました。

これらの収容所は、グラーグ（労働収容所管理総局）の下で運営されており、具体的な施設名も存在しました。例えば、白海・バルト海運河の建設に関与するベルバルトラーグや、ヴィシェラーグなどです。

歴史的背景

ラーゲリの起源は、ロマノフ王朝時代にさかのぼり、当時から帝政に反抗する者たちは捕らえられ、シベリア流刑へと送られました。しかし、その監視体制は緩やかであったため、多くの者が脱走することが可能でした。2月革命の後、流刑制度は廃止されましたが、10月革命の成功を受けてボリシェヴィキが権力を握ると、再びシベリア流刑が復活し、さらに新たに強制収容所が設立されました。

第二次世界大戦中には、多数の日本人捕虜がシベリアなどに強制抑留され、過酷な労働に従事させられました。彼らだけでなく、ドイツ軍や、イタリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、フィンランドなど、数多くの捕虜がこの収容所で過酷な労働を強いられたのです。特に、収容所は内務人民委員部が支配していたため、冷遇される状況は一様であり、捕虜たちの待遇は必ずしも良くはありませんでした。

スターリン体制と収容所

1953年にスターリンが亡くなると、この強制収容所の運営方針に変革が表れます。当初は、収容者の解放が始まり、その後も収容所の数が減少していきました。1956年、特にスターリン批判の流れの中で、収容者数は急減し、より人道的な環境への改善が進んでいきました。これは、多くの囚人にとって新たな希望をもたらしました。

中継ラーゲリ

「中継ラーゲリ」は、末端のラーゲリへ転送される囚人を一時的に留める施設です。シベリアから極東の鉄道付近に位置しており、冬季には交通手段が限られるため、収容者が押し寄せることになります。その結果、劣悪な環境はさらに悪化し、命を落とす者も数多く確認されています。この地点では、著名な詩人であるオシップ・マンデリシュタームが命を失ったことでも知られています。

参考文献

• - アレクサンドル・ソルジェニーツィン著『収容所群島』
• - 同著『イワン・デニーソヴィチの一日』
• - 辺見じゅん『収容所（ラーゲリ）から来た遺書』
• - アン・アプルボーム著『グラーグ ソ連集中収容所の歴史』

これらの資料は、ラーゲリの実情や歴史についての理解を深めるための貴重な情報源です。

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