ラーゴ (アルバム)

アルバム『ラーゴ』の概要

『ラーゴ』（Largo）は、アメリカのジャズ・ピアニスト、ブラッド・メルドーが2002年にリリースしたスタジオ・アルバムです。本作は、近年までのブラッド・メルドーのキャリアのなかでも特に特異な作品であり、ジャズの枠を超えた多彩な表現が見受けられます。

プロデューサーと背景

このアルバムは、エイミー・マンやフィオナ・アップルのプロデューサーとして知られるジョン・ブライオンによって制作されました。アルバムの名称は彼が頻繁に出演していたクラブの名前に由来し、メルドーはそのクラブでのライブを観ることでインスピレーションを受けていました。さらに、アルバムにはレディオヘッドの「パラノイド・アンドロイド」やビートルズの「ディア・プルーデンス」などのカヴァーが含まれており、「マザー・ネイチャーズ・サン」ではアントニオ・カルロス・ジョビンの曲「ウェイヴ」とメドレーで演奏されています。

レコーディングの手法

『ラーゴ』のレコーディングは、全て一発録りで行われ、オーバー・ダビングは一切使用されていません。メルドーのレギュラー・トリオからラリー・グレナディアとホルヘ・ロッシィの他にも、著名なドラマーやミュージシャンが参加し、録音のクオリティを高めました。特に、メルドーはプリペアド・ピアノを活用し、これにより独特な音色を生み出しています。曲「パラノイド・アンドロイド」と「フリー・ウィリー」では低音弦にパテを施し、一部の楽曲ではプリペアド・ピアノがパーカッションとして使われました。

ミキシングと制作の苦労

アルバムのミキシングは、カリフォルニアのNRGスタジオで行われ、メルドー自身がそのプロセスの重要性を強調しています。彼によると、ミキシングにかけた時間は特に大きく、最終的なサウンドはこの段階で完成に至ったと語っています。

反響と評価

『ラーゴ』は、そのリリース以降、様々な評価を受けています。アメリカの『ビルボード』ではジャズ・アルバム・チャートで3位に達し、フランスでも初登場61位となり、チャートに5週間連続でランクインしました。音楽評論家たちもこのアルバムに注目し、オールミュージックのRobert L. Doerschukは、メルドーの独特な表現力を称賛し、楽曲の奇抜さが彼の知性と特異性を反映していると評価しています。『ガーディアン』のJohn Fordhamは、メルドーの個性的な創造力が全編にわたって発揮されている点を高く評価し、視聴者にとっての驚きが隠されていることを指摘しました。

トラックリスト

アルバムのトラックも特記のない限り、ブラッド・メルドーが手がけており、彼の音楽スタイルが多くの楽曲に反映されています。

パーソネル

音楽制作には、メルドーだけでなく、多数のミュージシャンが携わっています。彼らはアルバムに多彩な音色を加え、メルドーのジャズに新たな風を吹き込んでいます。特に、他の楽器やエレクトロニクスの導入が、より複雑で豊かなサウンドを生み出しています。

このように、『ラーゴ』はブラッド・メルドーの革新性と多様性を示す重要な作品として、ジャズの歴史に名を刻んでいます。

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