ラージプート級駆逐艦

ラージプート級駆逐艦

ラージプート級駆逐艦（英語: Rajput class destroyer）は、インド海軍が運用するミサイル駆逐艦の艦級です。その名称は、サンスクリット語で「王子」を意味する「ラジャプトラ（rajaputra）」に由来します。本級は、旧ソビエト連邦海軍が使用していた61型大型対潜艦（通称「カシン型」）を原型とし、インド海軍の要求に基づいて設計が変更された派生型にあたり、ソ連における設計番号は61ME型、北大西洋条約機構（NATO）コードネームはカシンII級と呼ばれました。

開発と特徴

61型はソ連海軍で成功した計画の一つで、その多用途能力が評価されていました。インドは1974年の視察でこの艦級に着目し、自国海軍にとって必要と判断。ヘリコプター運用能力と火力強化を要求しました。

これを受け、原型から大幅な設計変更が施されました。艦尾の砲などを撤去してヘリコプター格納庫と発着甲板を新設。艦首砲の強化は実現しませんでしたが、艦対艦ミサイルに輸出仕様のP-20を搭載。対空ミサイルは改良型M-1「ヴォルナーP」を装備しました。対潜兵装や近接防空火器も備え、61-ME型はソ連初の重武装艦の一つとなりました。

建造と就役

全5隻が、ソビエト連邦時代のウクライナにある造船所で建造されました。完成後、海上公試を経てインド海軍へ引き渡され、1番艦ラージプートは1980年に就役。全艦の引き渡しは1988年までに完了しました。

近代化改修

就役後、ラージプート級は幾度もの近代化改修を受け、能力を向上させました。戦術情報処理装置の換装に加え、兵装面では特に大きな変化がありました。

1番艦ラージプートは、ブラモス巡航ミサイルやプリットヴィーIII弾道ミサイルの発射試験に用いられ、ブラモス用発射機を搭載するなど、対艦・対地攻撃能力を示しました。4番艦ランヴィールは、後部の対空ミサイルシステムを撤去し、ブラモス用の垂直発射システムを搭載する改修を受けました。

対空兵装も強化され、一部の艦では近接防空火器が換装されたほか、イスラエル製バラク-1艦対空ミサイルの垂直発射システムが搭載される改修も行われています。これらの改修に伴い、レーダーなども変更されました。

搭載ヘリコプターも、初期型からKa-28に変更されています。

活動状況

ラージプート級は、インド海軍の主力艦として、国内外の多様な活動に参加しています。共同演習や親善訪問、観艦式など、様々な場面でインド海軍のプレゼンスを示しています。一部の艦は日本への寄港経験もあります。また、外交上の任務にも投入され、多角的な役割を担っています。

長年の運用期間を通じて改修が続けられ、能力を維持・向上させてきた本級は、現在もインド海軍にとって重要な戦力として活動を続けています。

もう一度検索