ラーメン侍

『ラーメン侍』

2012年4月7日に全国で公開された日本の映画作品。福岡県久留米市を主な舞台とし、その地が発祥とされる「とんこつラーメン」にまつわる人間模様を温かく描いた人情ドラマ、およびご当地ムービーとしての側面を持つ作品です。

本作は、久留米で著名なラーメン店「大砲ラーメン」の社長である香月均氏が執筆した実話に基づく著書『久留米・大砲ラーメン親子二代熱風録』（書肆侃侃房刊）を原作としています。人気ラーメン店のオーナーが綴ったコラムにヒントを得て、映画化へと繋がりました。

メガホンを取ったのは瀬木直貴監督。主人公を演じたのは俳優の渡辺大で、彼は役柄に説得力を持たせるため、実際にラーメン店で本格的な修業を積んで撮影に臨みました。

ストーリー

物語の中心となるのは、東京で会社員として働く神代光。故郷である久留米でラーメン屋を営んでいた父の突然の訃報を受け、光は勤めていた会社を辞め、実家へ戻ります。父が遺したラーメン店を継ぐことを決意する光ですが、かつて繁盛していた父の店とは違い、思うようにいかない現実に直面し、自身の下した選択が本当に正しかったのか、迷いと自信喪失の日々を送ります。

そんなある日、光は母と共に、今は寂れてしまったかつての屋台街を訪れます。そこで母は、若かりし頃の父が、決して裕福ではなかったものの、無鉄砲な行動力と情熱を持ってラーメン屋台を切り盛りし、生き生きと過ごしていた思い出を語ります。母の話を聞くうちに、光は父がなぜラーメン屋を始めたのか、そこにはどんな思いが込められていたのかを知りたいという強い思いを抱くようになります。

光は、父の記憶に残る味を再現しようと試行錯誤を始めます。この過程は単なるラーメン作りにとどまらず、父の人生の軌跡をたどる旅であり、同時に自分自身と深く向き合う時間となっていきます。父の味を追い求める中で、光は父の仕事への情熱や生き様を感じ取り、やがて自分自身の道を見出していくことになります。

キャスト

神代光 / 神代昇（二役） - 渡辺大
神代嘉子 - 山口紗弥加
きな子 - 高木古都
神代光（子供時代） - 宮野薫
柳川一男 - 中村有志
的場洋二 - 甲本雅裕
児島 - 高杢禎彦
菊川基次郎 - 鮎川誠
黒柳鈴 - 淡路恵子
甲子雄 - 春田純一
山村千吉 - 西村雅彦
森田 - 津川雅彦
佐野実、河原成美、日下部覚、椎木樹人など、著名なラーメン関係者も多数出演しています。

スタッフ

監督: 瀬木直貴
脚本: 我妻正義
原作: 香月均『久留米・大砲ラーメン親子二代熱風録』
プロデューサー: 藤倉博
音楽: 大内義昭
* 撮影: 新井毅

公開とその他

本作は、全国公開に先立ち、2011年に九州地方で先行上映が行われました。その後、2012年4月7日に全国での封切りとなりました。また、東日本大震災からの復興を支援するため、福島県と宮城県の一部地域では本作の無料上映会が実施されるなど、チャリティ活動にも貢献しています。

映像ソフトとしては、2012年12月7日にブルーレイおよびDVDがビコムより発売されています。

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