リア・ミシェル

リア・ミシェル：才能と苦悩の物語

リア・ミシェル（1986年8月29日生まれ）は、アメリカ合衆国の俳優、歌手として活躍するマルチな才能の持ち主です。幼少期から類まれな歌唱力と演技力で注目を集め、数々の舞台を経験しました。1995年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』で鮮烈なデビューを飾り、その後『Ragtime』『屋根の上のバイオリン弾き』など、名だたる作品に出演。2007年には『春のめざめ』でドラマ・デスク賞ミュージカル部門主演女優賞にノミネートされるなど、早くからその才能を開花させています。

彼女のキャリアにおける転機となったのは、2009年のテレビドラマ『glee/グリー』への出演です。レイチェル・ベリー役で一躍人気を博し、世界中にその名を広めました。5オクターブに及ぶと言われる彼女の美声は、第45回スーパーボウルでの『ゴッド・ブレス・アメリカ』歌唱でも披露され、多くの人々を魅了しました。2011年にはバーブラ・ストライサンド主演映画『ファニー・ガール』の名曲『マイ・マン』を歌唱するなど、ミュージカル界のレジェンド達とも共演を果たしています。2014年には待望のファーストアルバム『ラウダー』をリリースし、歌手としても確固たる地位を築きました。

2022年、ミシェルはブロードウェイミュージカル『ファニー・ガール』でファニー・ブライス役として華々しく復帰しました。当初はビーニー・フェルドスタインが同役を演じていましたが、予定より早く降板したため、ミシェルが後任を務めることとなったのです。このキャスティングは、彼女が『glee/グリー』で演じたレイチェル・ベリーが『ファニー・ガール』への出演を夢見ていたというストーリー展開と重なり、メディアで大きな話題となりました。ミシェルの熱演は批評家から高い評価を受け、初日公演ではスタンディングオベーションが何度も起こるなど、大きな成功を収めました。しかし、公演開始から数日後、新型コロナウイルスに感染し、一時活動を休止せざるを得ない事態となりました。

ミシェルの演技については、『Vulture』誌のジャクソン・マクヘンリーが「観客の期待に応えるプレッシャーの中で、彼女はまさに剣闘士のように戦っている」と表現するなど、その高い緊張感と圧倒的な存在感が評価されました。『ニューヨーク・タイムズ』紙のジェシー・グリーンは、作品全体への批判を述べつつも、ミシェルの演技は作品全体を向上させるほどの力があると絶賛しました。

プライベートでは、身長160cmのミシェルは、LGBTの権利や動物愛護活動にも積極的に参加し、PETAのメンバーでもあります。俳優のテオ・ストックマンや『glee/グリー』共演者のコリー・モンティスと交際した過去を持ちますが、モンティスの早すぎる死は彼女に大きな悲しみをもたらしました。2019年にはアパレル会社「AYR」の社長ザンディ・リーチと結婚し、幸せな家庭を築いています。

しかし、ミシェルは2020年、共演者から人種差別的な言動があったとして告発され、大きな批判を浴びました。この告発を受け、食材宅配サービスとの契約解除、謝罪声明発表など、数々の問題に直面しました。共演者の中には、ミシェルとの共演経験を「悪夢」と表現する者もいる一方で、彼女を理解し、成長を願う声もあります。ミシェルの事件は、ハリウッドにおける人種問題や、個人の特権的な立場と責任を改めて問うきっかけとなりました。

リア・ミシェルのキャリアは、華やかさと同時に、苦悩と葛藤に満ちたものでした。類まれな才能を持つ彼女が、今後どのような道を歩んでいくのか、世界中が注目しています。

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