リオドン

リオドンとは

リオドン（学名: Liodon）は、後期白亜紀に生息していたモササウルス科の爬虫類です。この属に分類される化石は、アフリカ、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカ、そしてニュージーランドと、世界各地で発見されています。しかし、タイプ標本が不完全であるため、リオドンは疑問名とされています。つまり、その分類上の位置づけや系統関係は、明確に定義されていません。

モササウルス科におけるリオドンの重要性

疑問名でありながら、リオドンはモササウルス科の分類体系において重要な存在です。歴史的に、この属はモササウルス科の基準となる属の一つとして扱われてきました。そのため、モササウルス科の進化や多様性を理解する上で、欠かせない存在と言えるでしょう。

リオドンの特徴

リオドンは、以下のような特徴を持つとされています。

前上顎骨の歯の前方に小さな吻部がある。
上顎骨には13本から14本の歯が並ぶ。
歯骨には14本から16本の歯が並ぶ。
歯骨の最初の歯の後ろに小さな突起がある。
下顎の歯は後方へ圧縮され、滑らかなエナメル質で覆われている。

これらの特徴の中でも、特に歯の形状はリオドンを特徴づける重要な要素です。タイプ種である L. anceps は、2本の歯を含む顎の断片のみに基づいています。この歯は対称的に二重に突出しており、表面は滑らかです。

リオドンの分類

Liodon anceps は、1841年にリチャード・オーウェンによって Leiodon anceps として命名されました。その後、1846年にルイ・アガシーによって、属名が Liodon に変更されました。これは、先に別の魚類が Leiodon という名前を使っていたためです。

リオドンは、1853年にモササウルス科が確立された際に、最初にこの科に分類された属の一つです。当初、モササウルス、オンコサウルス、オプロサウルス、マクロサウルス、ゲオサウルスなどと共に分類されました。しかし、その後の研究により、これらの属のいくつかはモササウルス科以外の分類群に再分類されています。

1967年には、リオドンはモササウルス亜科を代表する属とされ、クリダステス、モササウルス、アンフェケプビス、コンプレシデンスと共にモササウルス族に分類されました。しかし、1993年に新たに3種(L. sectorius, L. compressidens, L. mosasauroides)が記載されたものの、2008年の研究で、L. anceps のタイプ標本が特徴的な歯を失っていることが指摘され、リオドン属は疑問名となりました。

近年の研究

近年の研究では、L. sectorius, L. compressidens, L. mosasauroides は、プログナトドン属に再分類されました。しかし、プログナトドンの種である P. kianda* がプログナトドン属よりも基盤的なモササウルス亜科であり、独立した属である可能性が指摘されているため、これらの種の系統的位置は依然として不確かな状態です。

このように、リオドンの分類は長年にわたり変更が繰り返され、現在も議論が続いています。このことは、モササウルス科の系統関係の複雑さと、化石資料の断片性を示す良い例と言えるでしょう。

まとめ

リオドンは、世界各地で化石が見つかっているモササウルス科の爬虫類ですが、その分類は未だ不明確な点が多く残されています。しかし、モササウルス科の進化や多様性を理解する上で、重要な役割を果たす属の一つであることは間違いありません。今後の研究によって、リオドンの謎が解き明かされることが期待されます。

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