リオン・アンティリオン橋

リオ・アンディリオ橋：技術と歴史の融合

リオ・アンディリオ橋は、ギリシャ西南部、コリンティアコス湾に架かる壮大な斜張橋です。ペロポネソス半島パトラ郊外のリオと、ギリシャ本土のアンディリオを結び、その完成は地域の交通に革命をもたらしました。公式名称は、建設を提唱した19世紀の首相、ハリラオス・トリクピスにちなんで名付けられています。

概要

この橋は、中央径間560m、総距離2,252m（連絡橋を含めると2,882m）を誇り、総距離では世界最長の斜張橋の一つです。幅28メートルの橋面には、片側2車線と緊急用車線、そして歩行者用道路が整備されています。4つの巨大な支柱が橋を支え、その美しい姿は訪れる人々を魅了します。

建設の背景と技術的挑戦

19世紀当時、ギリシャは産業革命の初期段階にあり、橋の建設に必要な資金も技術も不足していました。本格的な建設計画が具体化したのは1990年代半ばのことです。建設にあたっては、以下の様な技術的な課題を克服する必要がありました。

深海部への橋脚固定: 水深65メートルに達する海底は軟弱な地盤で、橋脚を安定させる必要がありました。
地震および津波への対策: この地域は地震が頻発し、津波のリスクも考慮しなければなりませんでした。
* プレート運動への対応: コリンティアコス湾は年間30mmずつ広がっており、この地殻変動に対応する必要がありました。

これらの課題に対し、革新的な技術が用いられました。橋脚は海底に埋め込むのではなく、海水面と平行に敷き詰めた砂利の上に設置されました。地震の際には橋脚が水平方向に移動し、砂利がエネルギーを吸収する仕組みとなっています。また、橋脚とデッキ部はジャッキと緩衝器を介して固定され、地盤の変化に対応できるようになっています。

歴史

1998年に浚渫作業が開始され、2003年には巨大な支持パイロンが完成しました。デッキとケーブルの製作も同時進行し、2004年5月21日に主要構造が完成。同年8月7日には、アテネオリンピックの開幕直前に完成式典が開催されました。聖火ランナーが最初に橋を渡り、その後、UEFA欧州選手権2004でギリシャを優勝に導いたオットー・レーハーゲル監督と、建設開始時の公共事業省長官コスタス・ラリオティスが続きました。

建設費用は約6億3000万ユーロで、その大部分は欧州連合からの融資によって賄われました。当初の予定よりも大幅に繰り上げて建設が完了したのは、驚くべき成果と言えるでしょう。設計および施行の大部分はフランスのヴィンチ・グループが担当し、主任設計者はBerdj Mikaelianが務めました。

通行料

リオ・アンディリオ橋の通行料は、自動車が10.50ユーロ、バイクが1.50ユーロとなっています。

まとめ

リオ・アンディリオ橋は、単なる交通インフラではなく、技術力と創造性の象徴です。その美しい姿は、ギリシャの新たなランドマークとして、世界中の人々を魅了し続けています。

もう一度検索