リジェ・JS2

リジェ・JS2は、フランスの自動車メーカー、リジェ社が1971年から1975年にかけて製造した希少なスポーツカーです。その名は、創業者であるギ・リジェの親友であり、1968年のフランスGPで悲劇的な事故死を遂げたF1ドライバー、ジョー・シュレッサーへの敬意を表して名付けられました。

JS2の心臓部には、シトロエンSMやマセラティ・メラクと同じ、V6DOHC 2,670ccエンジンを搭載。最高出力170馬力を発揮するこのパワフルなエンジンは、ミッドシップレイアウトに配置され、軽量な車体と相まって優れた走行性能を実現しています。

ボディデザインは、イタリアのカロッツェリア・フルアが手がけ、ギ・リジェ自身による調整が加えられています。流麗なフォルムは、当時としては非常に先進的で、他に類を見ないスタイリッシュさを備えていました。全長4,250mm、全幅1,720mm、全高1,150mmというコンパクトなボディサイズは、取り回しやすさとスポーティな走りを実現する上で重要な要素となっています。車両重量はわずか865kgと軽量に抑えられ、優れたハンドリングと加速性能に貢献しています。

シャシーや各部の部品には、プジョーやシトロエンといったフランス車の部品が数多く流用されており、コスト効率と信頼性の両立が図られています。これは、リジェ社が限られたリソースの中で、高性能なスポーツカーを開発・製造しようとした工夫の表れと言えるでしょう。

リジェ・JS2は、その高いポテンシャルを証明するかのように、1973年から1975年にかけてル・マン24時間レースに参戦しました。そして1975年、コスワースエンジンを搭載したJS2は、総合2位(Sクラス2位)という素晴らしい成績を収め、その実力を世界に示しました。

リジェ・JS2は、少量生産された希少性、個性的なデザイン、そして高い走行性能とレースでの活躍など、多くの魅力を兼ね備えた名車です。F1チームとしてのリジェ社の技術力と情熱が凝縮された、まさに珠玉のスポーツカーと言えるでしょう。今日では、コレクターアイテムとして高い人気を誇っており、その希少性から、市場でも非常に高値で取引されています。リジェ・JS2は、自動車史に残る名車の一つとして、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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