リチャード・ジョンソン (16世紀の作家)

リチャード・ジョンソン（Richard Johnson, 1573年 - 1659年頃）は、イギリスのロマンス作家として知られています。しかし、彼の生涯に関する情報は非常に限られており、そのほとんどが彼の著作の中に残された内的証拠から推測されています。

彼の作品から読み取れるのは、1590年代にロンドンで徒弟として過ごし、1600年以降は自由市民として活動していたであろうということです。当時のロンドンの社会や文化を背景に、彼はどのような物語を紡ぎ出したのでしょうか。

ジョンソンの作品の中で最も有名なのは、『キリスト教圏の七勇士の有名な歴史』（The Famous Historie of the Seaven Champions of Christendom, 1596年頃）です。この作品は非常に人気を博し、1608年には第2部、1616年には第3部が追加されました。七勇士の冒険譚は、当時の読者たちを魅了し、ジョンソンの名声を高めることとなりました。

その他にも、ジョンソンは以下のような物語を著しています。

『ロンドンの九偉人』（Nine Worthies of London, 1592年）
『ムーアフィールズの愉快な散歩』（The Pleasant Walks of Moorefields, 1607年）
『ホブソンじいさんの愉快な発想』（The Pleasant Conceites of Old Hobson, 1607年） - ポールトリーの有名な小間物商を主人公とした物語です。
『リンカンのトムの最も愉快な歴史』（The Most Pleasant History of Tom a Lincolne, 1607年） - アーサー王とロンドン伯の娘アンジェリカの息子トムの物語です。
『ソールズベリー伯ロバート卿追悼』（A Remembrance of Robert Earle of Salisbury, 1612年）
Looke on Me, London （1613年）
『親指トムの歴史』（The History of Tom Thumbe, 1621年）
『多くの愉快な新しい歌とソネットで示される黄金の薔薇の花冠』（The Crown Garland of Golden Roses set forth in Many Pleasant new Songs and Sonnets, 1612年） - ディック・ウィッティントンと猫の物語の現存する最古の活字版が含まれています。

これらの作品群からは、当時のロンドンの人々の生活や価値観、そしてジョンソン自身の興味関心が垣間見えます。彼は、英雄譚やロマンス、ユーモラスな物語など、多様なジャンルの作品を手がけ、当時の読者を楽しませました。

リチャード・ジョンソンの作品は、現代においては忘れ去られつつありますが、彼の作品は当時のイギリス文学や文化を研究する上で貴重な資料となっています。彼の作品を通して、16世紀末から17世紀初頭のイギリス社会に触れてみてはいかがでしょうか。

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