リチャード・ドーソン (音楽家)

リチャード・ドーソン：陰鬱とユーモアが織りなすフォークの世界

リチャード・ドーソンは、イングランド北東部のニューカッスル・アポン・タイン出身のフォーク音楽家です。彼の音楽は、暗く陰鬱なテーマを扱いながらも、どこかユーモラスで独特な世界観を構築しています。2014年にリリースされたアルバム『Nothing Important』は、Weird World から発表され、批評家から高い評価を受け、彼の名前を広く知らしめました。

生い立ちと音楽への目覚め

ニューカッスルで育ったドーソンは、幼い頃から歌うことに興味を持ち、フェイス・ノー・モアのマイク・パットンなど、アメリカの歌手たちの歌唱スタイルを真似ていました。約10年間レコード店で働いた後、プロの音楽家としてのキャリアをスタートさせます。

独自のギター奏法

ドーソンの音楽の特徴の一つは、その独特なギター奏法です。彼は、安価なナイロン弦のアコースティック・ギターを誤って壊してしまい、修理に出したところ、以前とは異なるユニークな音色を奏でるようになったことに気づきました。それ以来、そのギターをメインの楽器として使用しています。

多様な音楽的影響

ドーソンの音楽は、キャプテン・ビーフハートのイギリス版と評されることもあります。彼自身は、イスラム神秘主義のスーフィズム音楽であるカッワーリー、ケニアのフォークギタリスト、ヘンリー・マコビ、そしてフォークミュージシャンのマイク・ウォーターソンなどから影響を受けたと語っています。

ハープ奏者のロドリ・デイヴィスとは、アルバム『The Glass Trunk』（2013年）と『Nothing Important』（2014年）で共演しており、ドーソンはデイヴィスを「何か親族のような精神」を感じる存在だと語っています。2013年には、ドーソンとデイヴィスは共作アルバム『Dawson-Davies: Hen Ogledd』をリリースしました。また、ドーソンはソロ作品を「Eyeballs（アイボールズ）」という名義でも発表しています。

演奏スタイルと歌詞

『Nothing Important』以降、ドーソンはフェンダーのギターをオレンジのアンプに繋いで演奏するようになります。また、iOSアプリ「ThumbJam」による合成音や、基本的な知識しかないサクソフォーンも演奏に取り入れています。

ドーソンの歌詞は、死への言及など、暗いテーマを扱うことが多いです。アルバム『The Glass Trunk』の制作時には、タイン・アンド・ウィアのアーカイブに関するデータベースを用いて「死」を検索し、殺人事件や傷害事件を報じた古い新聞記事からインスピレーションを得ています。アルバム『Nothing Important』に収録された「The Vile Stuff」という曲では、子供の頃の遠足でココナッツの殻を割ろうとしてドライバーで手を怪我をしたエピソードなど、様々な出来事が語られています。

ディスコグラフィー (アルバム)

Richard Dawson Sings Songs and Plays Guitar (2007)
Motherland (2008)
Dawson May Jazzfinger Clay with Nev Clay, Ally May & Jazzfinger (2009)
The Magic Bridge (2011)
The Glass Trunk (2013)
Dawson-Davies: Hen Ogledd with Rhodri Davies (2013)
* Nothing Important (2014)

リチャード・ドーソンの音楽は、一聴すると暗く陰鬱に感じるかもしれませんが、その奥にはユーモアや人間味が隠されています。彼の独特な世界観に触れてみてはいかがでしょうか。

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