リチャード・バンド

概要

リチャード・バンド（1953年 12月28日生まれ）は、アメリカ合衆国を拠点に活動する多作な作曲家です。彼のキャリアは、映画、テレビドラマ、テレビアニメ、そしてコンピューターゲームといった幅広いメディアの音楽制作に及びます。特に、ホラーやサイエンス・フィクションといったジャンル映画におけるB級作品のスコアで広く知られています。

来歴

カリフォルニア州ロサンゼルスに生まれたリチャード・バンドは、映画製作に深く携わる家庭環境の中で育ちました。彼の父親は、著名な映画監督、プロデューサー、および脚本家として知られるアルバート・バンドです。また、兄には映画監督、プロデューサー、そして配給業者として活躍するチャールズ・バンドがいます。さらに、現代のロックバンド「ザ・コーリング」でボーカルを務めるアレックス・バンドは彼の甥にあたる存在です。父親と兄のアルバート、チャールズは、ホラーやSFを中心としたB級映画を数多く世に送り出しており、リチャードはこれらの家族が手掛けた作品の音楽を多数担当することで、家族との連携を深めてきました。

リチャードが5歳の頃、バンド一家はスウェーデンへと移住します。その後、パリ、ローマとヨーロッパ各地を転々としましたが、この時期に彼は音楽と出会い、積極的にバンド活動を行うようになります。1970年にアメリカへ帰国した後、一時的に兄チャールズが運営する映画会社でアシスタントディレクターなどの裏方業務に就きましたが、やがて自身の情熱に従い、作曲家としての道を再び歩み始めました。

作曲家としての活動を通して、リチャード・バンドは、同じく高名な映画音楽家であるジェリー・ゴールドスミスの息子、ジョエル・ゴールドスミスと親交を深めます。二人は音楽制作において協力関係を築き、SF映画の『SFレーザーブラスト』や、長寿人気テレビシリーズ『スターゲイト SG-1』などで共同での作曲作業を行いました。このコラボレーションは、彼のキャリアにおける重要な一部となっています。

主な作曲参加作品

リチャード・バンドは、その長いキャリアの中で驚くほど多様な作品に音楽を提供してきました。特に彼の個性と才能が光るのは、ホラーやSFといったジャンル作品です。以下に、彼が音楽を手掛けた代表的な作品の一部をリストアップします。

映画音楽

リチャード・バンドの映画音楽の貢献は、特にB級ホラー・SF映画の分野で顕著です。初期にはジョエル・ゴールドスミスとの共同作業による『SFレーザーブラスト』（1978年）があり、その後も数々のカルト作の音楽を手掛けました。例えば、『ゾンビ怨霊の墓場』（1980年）、『悪魔の寄生虫・パラサイト』（1981年）、『スプラッター・ナイト血塗られた女子寮』（1982年）、『メタルストーム』（1983年）、そして特に有名な『ZOMBIO/死霊のしたたり|ZOMBIO_死霊のしたたり』（1985年）や『フロム・ビヨンド』（1986年）などがあります。

その他にも、以下のような作品の音楽を手掛けています：

『Dr.ヘキルとMr.ハイプ』（1980年）
『女子大生課外授業恋のランチワゴン』（1980年）
『異次元へのパスポート』（1980年）
『宇宙からのツタンカーメン』（1982年）
『ミュータント人類改造計画』（1984年）
『SFソードキル』（1984年）
『グーリーズ』（1985年）
『SFゾーン・トゥルーパーズ』（1985年）
『テラービジョン』（1986年）
『エリミネーターズ』（1986年）
『トロル』（1986年）
『プリズン』（1987年）
『シャドー・ゾーン』（1989年）
『アリーナ』（1989年）
『ジャンクウォーズ2035』（1990年）
『ペンデュラム悪魔のふりこ』（1991年）
『ヘルハザード禁断の黙示録』（1991年）
『ドールズ2』（1991年）
『トランサーズ2360』（1991年）
『サイキック・ウォリアーズ超時空大戦』（1992年）
『バッフィ/ザ・バンパイア・キラー|バッフィ_ザ・バンパイア・キラー』（1992年）
『ジュラシック・キッズ』（1993年）
『シュランケン・ヘッドアメリカの怪談』（1994年）
『ドラゴン・ワールド』（1994年）
『キャッスル・フリーク』（1995年）
『バトルフィールド』（1997年）
『巨大怪獣ザルコー』（1997年）
『ホムンクルス新種誕生』（1997年）
『パペット・マスター悪魔の人形伝説』（2003年）
『RE-ANIMATOR　死霊のしたたり3』（2003年）
『インプリズン -修道女の悪夢-』（2007年）

テレビドラマ音楽

テレビドラマの分野でも、リチャード・バンドは幅広く活動しています。特に知られているのは、長期にわたり放送されたSFシリーズ『スターゲイト SG-1』（1997年～2007年）、ファンタジーシリーズ『Charmed (チャームド) ～魔女3姉妹～』（1998年～2006年）、そして青春ドラマ『ドーソンズ・クリーク』（1998年～2003年）などの音楽です。

その他、以下のようなテレビドラマ作品にも関わっています：

『ヤング・スーパーマン』
『新死霊のしたたり』（1990年）
『アライバル超生命体・飛来』（1991年）
『リモコン・キッズ』（1993年）
『クォーズ 4つ子の遺伝子物語』（1996年）
『ティーン・ビューティ』（2000年）
『魔女の棲む館』（2005年）
『マスターズ・オブ・ホラー』（2006年）
『ヴァレリーの誘惑』（2006年）
* 『ワシントン・コード』（2007年）

テレビアニメ音楽

テレビアニメ作品においても音楽を提供しており、その活動領域の広さを示しています。

結び

リチャード・バンドは、映画、テレビ、ゲームといった多岐にわたるメディアで活躍するベテラン作曲家です。特に、家族が深く関わるホラーやSFといったジャンル映画の世界において、その多作ぶりと個性的な音楽で確固たる地位を築き上げました。長年にわたり数多くの作品に貢献し続けており、映像作品の世界観を音楽で豊かに彩る彼の貢献は大きいと言えるでしょう。

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