リチャード・バーンズ

リチャード・バーンズ：才能と闘病、そして伝説のラリードライバー

1971年1月17日、イギリスのレディングに生まれたリチャード・アレクサンダー・バーンズは、世界ラリー選手権（WRC）の歴史に名を刻んだ伝説的なドライバーとして知られています。幼少期からレーシングへの情熱を燃やし、8歳で父親の車を運転して才能の片鱗を見せました。11歳で自動車クラブに加わり、若くして本格的なドライバーとしてのキャリアをスタートさせます。

才能溢れる若き日の活躍

彼は、イギリスラリー選手権やプジョー・チャレンジで経験を積み重ね、1990年にはWRCデビューを果たします。その後、スバルや三菱といった名門チームに所属し、イギリスラリー選手権で最年少チャンピオンに輝くなど、輝かしい成績を残しました。特に1998年には、三菱チームの一員としてWRCサファリラリーと最終戦グレートブリテンラリーで優勝。チームにドライバーズ、マニュファクチャラーズのダブルタイトルをもたらす原動力となりました。

スバルでの活躍と悲劇

1999年からスバルに復帰したバーンズは、マシンの熟成不足やタイヤ開発の遅れといった困難を乗り越え、持ち前の速さで結果を残し続けました。そして迎えた2001年、念願の世界ラリー選手権ドライバーズチャンピオンのタイトルを獲得。イングランド出身者としては初の快挙でした。

しかし、2003年、悲劇が彼を襲います。ラリーGBに向かう途中、高速道路で突然失神。検査の結果、悪性脳腫瘍である星状細胞腫が発見されました。治療に専念するも、2005年11月25日、34歳の若さでこの世を去りました。彼の死は、世界中のモータースポーツファンに衝撃を与えました。なお、命日である11月25日は、彼が世界チャンピオンを獲得した日でもありました。

人間性と評価

バーンズは、しばしば個人主義者、傲慢と評されました。しかし、それはインタビューが苦手だったことや、プライドの高さから本心を打ち明けられなかったことが原因だと考えられます。実際には、コドライバーや仲間との良好な人間関係を築いており、親しい友人たちも多かったようです。

同時代のラリードライバー、コリン・マクレーとの比較も頻繁にされました。2人はライバルでありながら、友人としての関係も築いていました。バーンズは、優勝回数こそ多くありませんでしたが、安定した走りで常に上位を争い、2001年にはわずか1勝で世界王者に輝いたことは、彼の並外れた実力を証明するものです。

ゲームへの貢献

バーンズは、自ら監修を務めたラリーゲーム『リチャード・バーンズ・ラリー』の開発にも携わっています。このゲームは、リアルなグラフィックと操作性で高い評価を受け、彼の名前を冠したゲームとしては最初で最後の作品となりました。

様々なエピソード

彼は、戦闘機が大好きで、英国空軍のトーネード戦闘機に試乗したこともあります。また、ラリー前にテンションを高めるため、エミネムの曲を聴いていたという逸話も残されています。さらに、コドライバーとの連携を車載映像を使って始めた先駆者としても知られています。

彼の功績と魅力は、今も多くの人々の記憶に刻まれています。短い生涯でしたが、世界ラリー選手権の歴史に大きな足跡を残したリチャード・バーンズ。その才能、そして彼を襲った悲劇は、私たちに多くのことを考えさせます。彼の伝説は、これからも語り継がれていくでしょう。

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